質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一九号

福島県鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業及び仮設焼却施設の爆発事故等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月二十一日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   福島県鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業及び仮設焼却施設の爆発事故等に関する質問主意書

 環境省が福島県東白川郡鮫川村において実施している農林業系副産物等処理実証事業(以下「本件事業」という。)及び本年八月二十九日に発生した同事業における仮設焼却施設(以下「本件焼却施設」という。)の爆発事故(以下「本件爆発事故」という。)等に関して、以下質問する。

一 本件事業を実施するに至った①目的、②用地選定及び取得に至る経緯(地権者との賃貸契約の内容及び締結日を含む)、③受託者が日立造船に決定した経緯、④操業に至る経緯、⑤事業経費、⑥地元関係機関(鮫川村及び近隣市町村並びにそれらの議会)及び地域住民(地権者を含む)への説明会の開催の有無並びにその議事録、⑦生活環境調査及びリスク評価の実施の有無とその内容について、詳細を明らかにされたい。生活環境調査及びリスク評価を実施していない場合には、その理由を明らかにされたい。また、本件事業を安全上問題ないとした根拠についても併せて明らかにされたい。なお、廃棄物処理法等の対象となる焼却炉における生活環境調査及びリスク評価との整合性について、政府の見解を示されたい。

二 環境省は本件事業のための用地の賃貸借契約をめぐって、地権者の一人から不動産侵奪罪や虚偽公文書作成及び行使罪等で刑事告訴を受けているが、その事実関係について明らかにされたい。

三 本件焼却施設における焼却炉の型式について傾斜式回転床炉を採用した理由とその設備の安定性及び安全性の確認試験の実施結果について、詳細を明らかにされたい。

四 本件事業に適用される諸法令とその内容について、詳細を明らかにされたい。

五 本件事業において、本年七月一日に施行された改正電離放射線障害防止規則の適用の有無、その履行状況、関係者への事前説明の実施の有無及びその内容について、明らかにされたい。

六 本件爆発事故の①発生に至る経緯、②当日の作業手順、③作業員の配置状況及び任務分担、④事故の内容及び直後に行った措置内容(関係機関、関係者への通報等を含む)、⑤現在までの進捗状況(有識者へのヒアリング状況の詳細を含む)、⑥現在までに判明している原因、⑦当面の措置と今後の恒久的な対策(施設の撤去の方針を含む)について、詳細を明らかにされたい。

七 本件爆発事故が発生した当時、近くの村民の通報によれば、地響きを伴う爆発が二回あったとのことであるが、この二回の爆発の内容につき、確認できている詳細を明らかにされたい。

八 本件爆発事故による設備関係の故障等については、主灰コンベアの覆いの破損の外に新たに点検口などの破損も発見されている(十月七日環境省発表資料)が、「など」を含めて破損の発生個所を全て具体的に明らかにされたい。

九 本件爆発事故に至る原因についてはあらかじめ想定していなかったのか、未然防止のための措置を講じていなかったのはなぜか、ヒューマンエラーを含めて初歩的なミスをなぜ防げなかったのか、運転中に主灰がこぼれるというのは構造上の欠陥ではないのか、事前の調整運転の時点で分かっていたことではないのか、なぜ本稼働実施まで見過ごされてきたのか、以上の点につき、政府の見解を明らかにされたい。

十 本件爆発事故の原因となったゲートを常時「開」にしたままでの運転について、この操作を含めて詳細な操作マニュアルが定められていなかったのか、また、この操作方法の変更は運転操作者の独自の判断で実施されていたとされているが、この操作マニュアルを変更する際は事前に責任者の判断を仰ぎ、十分な協議を行ったうえで変更するような規定になっていなかったのか、運転操作者に対する教育はどのように行われていたのか、その詳細を明らかにされたい。

十一 消防署、警察署、労働基準監督署等関係機関への通報が直ちに実施されなかったことについて、現場作業者の判断に委ねていたことが明らかになっている。環境省を始め現場所長及び現場作業者に対する緊急時の対応についての周知徹底が図られていなかったのではないか、「緊急時において順次停止した場合には関係機関に連絡する」というルールが定められていたにもかかわらず、このルールが遵守されなかったのはなぜなのか、関係者への教育及び緊急時対応訓練がどのように行われていたのか、その詳細を明らかにされたい。

十二 緊急時連絡体制について、関係者の意見を踏まえて改善するとしているが、関係者の中に地域住民は含まれているのか、含まれる場合には鮫川村村民だけか、その範囲を具体的に明らかにされたい。

十三 今後の事故防止対策について、①「シリンダーゲートを二重にして窒素を封入する」とのことであるが、毎回主灰をゲート間に落として封じ、ゲート間の隙間に窒素を注入するとの理解でよいか、具体的な方法について明らかにされたい。②「主灰コンベア内を換気する」というが、どのような方法で行うのか、また、これによる外部への放射能漏れはないのか、具体的に示されたい。③助燃剤の重油使用を止めてバーナーの能力を上げて焼却するとのことであるが、どの程度の能力向上が見込まれるか、具体的に明らかにされたい。

十四 本件爆発事故の再発防止対策後の運転体制について、現状は六名勤務のところ、八名増員して十四名体制にするとのことだが、人数を増強する必要性、役割分担、責任区分及び費用対効果を明らかにされたい。

十五 本件爆発事故の補修費及び今後の新たな防止対策費用について、施設全体の設備追加、改良、人員増加分の人件費等追加費用の経費を含めた事業費全体の総額を明らかにされたい。

十六 本件事業における焼却対象物について、当初六百トンとされていたが、その後焼却対象物は大幅に減少していることが判明している。焼却対象物の処理計画量について見直しを行っているのか、行っている場合には、見直し後の種類別重量及び放射線量(ベクレル毎キログラム)を明らかにされたい。

十七 八千ベクレル毎キログラム以下の汚染牧草について、無償提供を希望する牧場へ提供しない理由は何か、明らかにされたい。

十八 指定廃棄物の指定及び保管方法について、鮫川村では二〇一三年七月まで環境省の指示により指定申請を見合わせていたと村は説明しているが、その理由は何か。また、福島県内の指定廃棄物の指定状況が本年三月三十一日段階から八月三十一日時点で更新されている理由は何か、明らかにされたい。

十九 各市町村における指定廃棄物の指定は放射性物質汚染対処特措法に基づいて適切に指定がなされているか、また、その保管管理が適正になされているか確認しているか、確認していない場合にはその理由は何か、明らかにされたい。

二十 除染廃棄物の保管について、鮫川村を始め各地において除染廃棄物を梱包した土のう袋等が仮置きされたまま風雨にさらされているが、その強度の保持や線量管理は徹底されているのか、測定頻度、測定位置を明らかにされたい。

  右質問する。