質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

高血圧症治療薬バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験における奨学寄附金に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月十八日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   高血圧症治療薬バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験における奨学寄附金に関する質問主意書

 高血圧症治療薬バルサルタン(商品名ディオバン)に関する医師主導臨床研究の論文において不正が疑われる事件について、奨学寄附金の点について以下、質問するので、項目ごとに答弁されたい。

一 本年十月八日、高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会が取りまとめた「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(中間とりまとめ)」に記載されたプロトコル作成、統計解析、論文作成の経緯からすると、京都府立医科大学、東京慈恵会医科大学の双方とも、「共同研究」、「委受託研究」に該当する形態であるようだが、これを「奨学寄附金」という枠組みで資金助成し、自主臨床研究として行わせ、税制上の優遇措置を受けているということは、ノバルティスファーマ株式会社(以下「ノバルティス社」という。)の脱税行為に該当する可能性があるが、この点について、政府の見解を明らかにされたい。

二 Kyoto Heart Studyの研究デザイン論文(Journal of Human Hypertension(二〇〇九)二三、一八八-一九五)では、謝辞(Acknowledgements)に、京都府立医科大学の費用で行われたことと、ノバルティス社の「unrestricted grant」を受けたことが記されている。スポンサーは研究デザイン、データ収集・分析・解釈・論文執筆に何ら役割を果たしていないと記されているが、中間とりまとめに記された大学側及び元社員側の証言から、この謝辞は虚偽であると考えるので、政府は本論文の著者に対し掲載誌に撤回を申し出るよう勧告すべきと考えるが、いかがか。

三 前記二についても、脱税行為に該当すると考えるが、いかがか。

四 内外の製薬企業から奨学寄附金が大学や研究室に寄附され、その大学や研究室において当該企業の医薬品の市販後臨床試験が行われていた事例について、厚生労働省が把握している事例を明らかにされたい。

五 前記四に関して、厚生労働省が把握していない場合には、調査すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。