質問主意書

第184回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定及び日米並行協議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年八月六日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   環太平洋パートナーシップ(TPP)協定及び日米並行協議に関する質問主意書

 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定(以下「TPP」という。)及び日米並行協議に関して、以下のとおり質問する。

一 日米間の協議結果の確認に関するマランティス米国通商代表代行発返書(平成二十五年四月十二日)について、「TPP交渉と並行して、保険、透明性/貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置の分野における複数の鍵となる非関税措置に取り組むことを決定しました」とあるが、具体的には、どのような非関税措置について議論をしたのか。それぞれの分野にはどのような非関税障壁があると米国は主張しているのか、示されたい。
 また、「非関税措置について達成される成果が、具体的かつ意味のあるものとなること、また、これらの成果が、法的拘束力を有する協定」等を通じて実施されるとしているが、法的拘束力の中身はどのようなものなのか、示されたい。

二 日米間の協議結果の確認に関する佐々江駐米大使発書簡(平成二十五年四月十二日)について、「二〇一一年十一月十二日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認しました。」と表明されている「高い水準の協定」とは、具体的に何を指すのか。

三 我が国のTPP交渉参加に関するマランティス米国通商代表代行発米国下院議長・上院仮議長宛書簡(平成二十五年四月二十五日)について、「日本との二国間協議においては、TPP交渉参加国が追求している高い水準で包括的な目標を追求することについての日本の用意に焦点を当てた。我々はまた、交渉が進んだ段階に達しており、TPP各国は交渉を本年妥結させることを目指していることから、日本の参加が交渉を遅らせることがないことを確保することについても焦点を当てた。これらに対し、また、これらを完全に認識した上で、日本は、交渉に前向きかつ建設的に参加することを確認した。」とあるが、この「完全に認識した」とは、誰が、いつ、どのような形で、具体的にどのような交渉内容を「完全に認識した」のか。
 また、「日本はまた、全ての物品(農産品と工業製品の双方)を交渉の対象とすること、及び他の交渉参加国とともに高い水準で包括的な協定を本年達成していくことを確認した。」とあるが、農林水産分野の重要五品目などの「聖域」もこの時点で交渉の対象にすると同意していたのか。

四 本年六月十六日付けの産経新聞が「米国が難色を示していた遺伝子組み換え食品の表示義務を受け入れる方針であることが分かった。」と報じているが、これは事実か。事実とすれば、これは日米二国間だけの合意なのか。あるいは、TPP交渉参加国全てに対して米国が受け入れた合意なのか、明らかにされたい。

五 米自動車政策会議のマット・ブラント会長が「為替操作を禁止する強力で強制力を持った規則がTPPに盛り込まれる必要がある」と発言し、TPPに為替操作に対する新たな規定を追加するよう米国下院議員二百二十六名が署名してオバマ大統領へ書簡を送った。フロマンUSTR代表も「為替操作は重要な懸念事項」と発言しているが、為替操作に対する規定の議論が日米並行協議の中で出ているのか。
 為替操作に対する規定が盛り込まれれば、金融政策に対する内政干渉となり大問題であると思うが、この点について、政府の見解を明らかにされたい。

六 本年四月十九日、米国シンクタンク戦略国際問題研究所で開催された講演会において、麻生太郎副総理が、「水道というものは、世界中ほとんどの国では、プライベートの会社が水道を運営しているが、日本では自治省以外ではこの水道を扱うことはできません。しかし水道の料金を回収する九十九・九九パーセントというようなシステムを持っている国は、日本の水道会社以外にありませんけれども、この水道は全て国営若しくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します。」と水道民営化に言及している。

1 TPPでは政府調達の分野も含まれており、外国企業の参入を拒めなくなるはずである。水道のようなライフラインを外国企業に買収されてしまえば国家安全保障に関わる問題となる。この点について、政府の見解を明らかにされたい。
2 米国には国家安全保障を脅かす外国企業の活動を制限できるエクソン・フロリオ条項があるが、日本版エクソン・フロリオ条項のようなものの導入は検討していないのか、政府の見解を明らかにされたい。
3 愛媛県松山市において、ヴェオリア・ウォーター・ジャパン株式会社への水道事業の業務委託が始まっている。松山市は業務委託によって水道料金が値上がりすることはないとホームページで公言しているが、同ホームページによれば、平成二十五年度から平成二十八年度にかけて水道料金の大幅値上げが計画されている。ヴェオリア・ウォーター社が参入したことと、この料金値上げとの間に本当に関連性はないのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。