質問主意書

第184回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

子ども被災者支援法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年八月五日

福島 みずほ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   子ども被災者支援法に関する質問主意書

 東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(以下「子ども被災者支援法」という。)は、二〇一二年六月に全会一致をもって可決成立した。子ども被災者支援法の趣旨に忠実な基本方針を速やかに策定し、被災者支援のための具体的施策を早急に実現することは、政府の最重要の政策課題である。
 本年六月十三日に復興庁水野参事官(当時)によるツイッターへの不適切な投稿が発覚した。同参事官による同年三月八日のツイッターへの投稿に「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意しただけなんだけど、こんな解決策もあるということ」とある。このツイッターについて、報道機関や市民団体からは、その直後の三月十五日に復興庁が「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」を公表したことから、支援策の前提となる線量基準及び基本方針の策定を先送りしたことを指しているのではないかと指摘された。
 日本弁護士連合会などが参加する「子ども・被災者支援法ネットワーク」が同年六月二十日付けで行った「原発事故子ども・被災者支援法に関する申入れ(質問)」に対して、復興庁は七月二日に書面で回答(以下「復興庁回答」という。)を行い、その中で、同参事官は、「その意味は、複数の省庁にまたがるある施策の調整が完了した際の記述であったと述べている」と説明し、「本人は、事情聴取に対し、「白黒をつけない」の意味は、それに関する国会答弁の作成の分担について、事前に決めるのではなく、実際に質問が通告された時点で、復興庁と関係省庁が協力して作成することになったことを婉曲的に表したものであり、報道されているような、子ども被災者支援法の基本方針の策定を先延ばしにしたという意味ではないと述べている」と説明した。
 ところが、同年八月一日付けで毎日新聞は、「同法を所管する復興庁が三月、具体的な支援策作りの大前提となる「線量基準」の検討をどこが主導するか曖昧にしたまま、七月の参院選後に先送りすることで関係省庁と合意していたことが国の関係者の証言で分かった。」、「担当課長・参事官の会議は二月以降、復興庁主導で開かれ、元参事官が所属する「福島班」の担当参事官が毎回出席していた。この会議で線量基準の検討を参院選後に先送りすることが合意されたという。元参事官が「懸案が一つ解決」と書いた三月八日にも会議は開かれていた。」と報道している。
 この報道が事実であるとすれば、復興庁は市民に対し、外面的には反省の意を表明した上で、実際は十分な調査も行わず、事実に反する回答を行って事実関係をごまかしていたこととなる。
 これに対し、復興庁は同年八月一日付けで公式ホームページ上でこの毎日新聞の「記事においては、復興庁元参事官のツイッター発言は、線量基準の検討スケジュールのことを指すとされていますが、そのような事実はありません。」と釈明した。しかし、このホームページの記載は、復興庁回答の繰り返しであり、具体的な事実関係を明らかにしていない。
 復興庁回答や前述のホームページ上における釈明は、事実であるかどうか、極めて疑わしい。復興庁は参事官ツイッター問題が生じた後においても、背後となる事実関係を明確に調査することもせず、事実に基づかない責任逃れの回答をしていたものと考えざるを得ない。
 よって、以下質問する。

一 復興庁は前文の毎日新聞の報道は事実でないとするが、どこまでが事実で、どの部分が事実と異なるのか明らかにされたい。

二 具体的な支援策作りの大前提となる線量基準の検討をどこが主導するか曖昧にしたまま、七月の参院選後に先送りすることで関係省庁と合意していたというのは事実か。事実でないならば、線量基準の検討は、いつ、どこが主導するか決まったのか、明らかにされたい。

三 復興庁回答作成のため、水野元参事官以外の誰から事情を聴取したか。また、それらの者の聴取内容も明らかにされたい。

四 前文の毎日新聞報道に関して、三月八日に復興庁と関係省庁の担当課長・参事官による会議は開催されているか。

五 前記四の会議の参加者を明らかにされたい。

六 前記四の会議の議題と議事内容を明らかにされたい。同会議で線量基準の検討を参院選後に先送りすることが合意されたというのは事実か。

七 復興庁回答にある「複数の省庁にまたがるある施策」とは何か。線量基準の検討ではないのか。施策内容を明確に示されたい。

八 復興庁回答に関して、十分な調査も行わず、事実に反する回答を行っていたとすれば、復興大臣と復興庁幹部はどのような責任の取り方をするつもりか。

九 一ミリシーベルトは、原子力開発を行うに当たって、一般市民の被ばく限度として定められていた政府の約束である。事故が起きた今こそ、この数値を守ることは、政府として当然の責務である。早期に支援対象地域を画す線量基準を一ミリシーベルトと定めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。