質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一五号

内閣参質一八三第一一五号
  平成二十五年六月十四日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員有田芳生君提出拉致問題と学校教育及び人権教育・啓発に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出拉致問題と学校教育及び人権教育・啓発に関する質問に対する答弁書

一について

 各都道府県において、政府との共催による「拉致問題を考える国民の集い」や映画「めぐみ」の上映会等が積極的に開催され、多くの国民がこれらに参加することで、拉致問題に関する理解が国民の間でより深まったと認識している。

二について

 文部科学省においては、平成二十三年度及び平成二十四年度に、全都道府県教育委員会の人権教育担当者等を集めた会議等各種の機会を通じ、各都道府県教育委員会等に対して、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成十四年三月十五日閣議決定。以下「基本計画」という。)における拉致問題に関する記述の趣旨を説明するほか、映画「めぐみ」及びアニメ「めぐみ」(以下「映画・アニメ」という。)等の学校において人権教育として拉致問題を扱う際に活用することができる資料の紹介を行った。また、同省においては、平成二十三年度及び平成二十四年度に、各都道府県教育委員会等に対して、内閣官房拉致問題対策本部事務局(以下「事務局」という。)が各都道府県教育委員会等に対し行った映画・アニメの活用に関する依頼について、改めて学校における活用を促す通知を発出しており、さらに、平成二十四年度の当該通知においては、各都道府県教育委員会等に対し、一般社団法人新潟青年会議所が作成した冊子マンガ「家族愛」及びその映像資料についても活用を促している。これらの取組により、学校において人権教育として拉致問題を扱うことについての各都道府県教育委員会の人権教育担当者等の理解が深まるとともに、各学校において人権教育として拉致問題を扱う取組の促進が図られているものと考えている。

三及び四について

 お尋ねの「全国で上映された実績」の意味するところが必ずしも明らかではないが、映画「めぐみ」については、平成二十三年度に、小学校三十五校、中学校十八校、高等学校二十六校及びその他の学校二校に対して、平成二十四年度に、小学校二十七校、中学校二十三校、高等学校二十四校及びその他の学校六校に対して、それぞれDVDを貸し出した。また、アニメ「めぐみ」については、平成二十三年度に、小学校四百二校、中学校百六十二校、高等学校九十九校及びその他の学校二十四校から、平成二十四年度に、小学校二百十九校、中学校九十三校、高等学校四十三校及びその他の学校十一校から、それぞれ上映後に提出を求めているアンケートの送付があった。
 なお、映画「めぐみ」のDVDの貸出先及びアニメ「めぐみ」のアンケートの送付元に係る設置者別の内訳については、把握していない。

五について

 平成二十三年度においては、小学校三校、中学校四校、高等学校四校(うち、私学は一校)及びその他の学校一校に対して、平成二十四年度においては、小学校四校、中学校二校(うち、私学は一校)、高等学校四校及びその他の学校一校に対して、それぞれ事務局の職員を派遣した。

六について

 お尋ねの「人権課題として拉致問題を担当する講師」の実数については、政府として把握していない。

七について

 お尋ねの「教師が授業を進める一助として拉致問題に関する副読本を作成している教育委員会」の数については把握していないが、複数の教育委員会において、人権教育として拉致問題を扱う際の教員の指導の参考となる資料について、作成・周知していることは承知している。

八について

 政府は、拉致問題に関する国民世論の啓発を図るため、学校教育における取組を含む人権教育・啓発の取組を推進しているところ、拉致問題の解決には、幅広い国民各層の理解と支持が不可欠であり、その関心と認識を深めることが求められていることから、拉致問題の長期化により国民の理解や関心等が低下することのないようにすることが課題と考えている。こうした認識の下、文部科学省では、学校における人権教育として拉致問題に対する理解を深める取組を推進するため、平成二十五年度においても、各都道府県教育委員会等に対し、引き続き基本計画における拉致問題に関する記述の趣旨の説明等に努めていきたいと考えている。また、法務省の人権擁護機関では、従来から、「北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう」を人権啓発活動の強調事項の一つとして掲げ、全国各地で、講演会の開催、新聞・広報誌による広報等の啓発活動を実施しているところ、同年度においても、引き続きこれらの活動に取り組んでまいりたい。