質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九〇号

内閣参質一八三第九〇号
  平成二十五年五月十七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員藤末健三君提出核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第二回準備委員会における共同声明への日本政府の不賛同に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第二回準備委員会における共同声明への日本政府の不賛同に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器使用の影響に関して各国よりも実態を知っているところである。核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)の運用検討会議第二回準備委員会において発出された「核兵器の人道的影響に関する共同声明」については、核兵器の使用が直後の被害のみならず、社会経済や将来世代にわたって耐え難い損害をもたらす旨言及されており、このような基本的な考え方は支持できるものであった。
 政府としては、北朝鮮の核開発問題を含む我が国を取り巻く厳しい安全保障環境にも鑑み、当該共同声明における表現について慎重かつ真剣に検討した上で、我が国の当該共同声明への賛同が可能となるよう、関係国と修文協議を行ったが、最終的には時間の制約から、協議が整わず賛同を見送らざるを得なかったものである。今後、同様の共同声明が発出される場合に、当該共同声明に賛同する可能性を真剣に模索する方針である。
 同会議第一回準備委員会において発出された「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」に関しては、同様に、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境にも鑑み、当該共同声明における表現について慎重かつ真剣に検討した結果として、賛同することを見送ったものである。

二及び四について

 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を二度と繰り返してはならないとの考えを様々な機会に繰り返し表明しているとともに、国際会議等において自らの被爆体験を証言する被爆者(昭和二十年八月に広島県広島市及び長崎県長崎市に投下された原子爆弾による被爆者をいう。)の方を「非核特使」として委嘱している。また、国際連合総会において、毎年、核軍縮に関する決議案を提出している。さらに、核軍縮・不拡散に対する立場を共有する国が構成する「軍縮・不拡散イニシアティブ」による活動を通じて、我が国が中心となり、現実的かつ着実な核軍縮・不拡散の取組の提案を行っているところである。このように我が国としては、核兵器のない世界を目指して、国際社会における核軍縮・不拡散のための努力を主導してきている。また、今後、同様の共同声明が発出される場合に、当該共同声明に賛同する可能性を真剣に模索する方針であることを、政府として表明している。したがって、「国際社会にわが国の意志と外交力の不足を示す」との御指摘は当たらないと考えている。
 また、北朝鮮に対しては、今後とも、全ての核兵器及び既存の核計画の放棄を強く求めていくこととしている。
 我が国としては、引き続き現実的かつ着実な取組を通じ、核兵器のない世界を目指して国際社会を主導していく考えである。