質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一八三第一六号
  平成二十五年二月十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員中西健治君提出東日本大震災からの復興のための財源に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出東日本大震災からの復興のための財源に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十五年一月二十九日に復興推進会議が決定した「今後の復旧・復興事業の規模と財源について」(以下「復興推進会議決定」という。)において、集中復興期間(平成二十三年度から平成二十七年度までの期間をいう。以下同じ。)における復旧・復興事業の規模と財源の見直しを行う中で、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十七号。以下「復興財源確保法」という。)附則第十三条第一項及び附則第十四条の規定を踏まえ、日本郵政株式会社の株式の売却収入として見込まれる四兆円程度等が財源として追加されている。

二について

 政府としては、復興推進会議決定において日本郵政株式会社の株式の売却による収入を復興財源に追加することとしたものであり、当該株式については、今後、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)附則第三条において「できる限り早期に処分するものとする」とされ、復興財源確保法附則第十四条において「日本郵政株式会社の経営の状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、できる限り早期に処分するものとする」とされていることを踏まえ、処分することとしている。

三から五までについて

 四兆円程度とされている集中復興期間における復旧・復興事業の財源として追加された日本郵政株式会社の株式の売却収入は、市場において行われた株式の売出しの事例における一回の売却当たりの売却総額及び政府保有株式の売却の事例における売却頻度に基づき、平成三十四年度までにおいて処分することが見込まれる日本郵政株式会社の株式の処分による収入として見積もられたものである。

六について

 日本たばこ産業株式会社の株式の売却については、平成二十四年五月十八日に開催された財政制度等審議会国有財産分科会において、同社の自己株式取得による処分を行い、残りを売出しとする方法が基本的には適当である旨了承を得ており、政府としては、これに沿って同年六月に主幹事証券会社の選定を行い、準備を進めているところである。

七について

 日本たばこ産業株式会社の発行済株式総数に、復興財源確保法が成立した日(平成二十三年十一月三十日)の終値及び平成二十五年二月四日の終値を乗じた額は、それぞれ三兆六千四百六十億円及び五兆九千五百億円である。

八について

 復興財源確保法第七十二条第三項において、復興財源確保法第四条第一項の規定により国債整理基金特別会計に所属替をした日本たばこ産業株式会社の株式の処分により生じた収入は、復興債の償還費用の財源に充てることとされている。
 復興財源確保法附則第十六条に規定する復興特別税に係る税負担の軽減のための所要の措置については、復興財源確保法附則第十三条から第十五条までの規定による償還費用の財源の確保が見込まれるときに、東日本大震災からの復興の状況等を勘案して適当な時期に見直すこととされている復興費用の見込額を勘案しつつ行うものとされており、今後、復興財源確保法附則第十六条を踏まえて検討することとなる。

九から十一までについて

 平成二十五年一月二十三日に東京都知事と国土交通大臣が会談を行い、東京の地下鉄の一元化等について、今後、協議を行うことで合意をしたところである。政府が保有する東京地下鉄株式会社の株式の売却の方法や時期については、可能な限り早期の売却を前提として、今後、検討を進めていく考えである。

十二について

 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号。以下「震災財特法」という。)附則第十条による中小企業者及び中堅事業者等に対する資金供給の円滑化を図るための株式会社商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第五十四号)の一部改正及び震災財特法附則第十一条による株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律(平成二十一年法律第六十七号)の一部改正により、平成二十六年度末を目途として、株式会社日本政策投資銀行(以下「政投銀」という。)及び株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)による危機対応業務の在り方並びにこれを踏まえた政府による政投銀の株式の保有の在り方を含めた会社の組織の在り方の見直し及び政府の保有する商工中金の株式の処分の在り方及び商工中金に対する国の関与の在り方の検討を行い、必要な措置を講ずるものとされたところであり、当該措置が講ぜられるまでの間、政府は政投銀及び商工中金の保有株式を処分しないものとされている。

十三について

 復興推進会議決定において追加された財源のうち、お尋ねの「歳出削減」に該当するものとして、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成二十五年一月二十四日閣議決定)の5に基づく要請を踏まえた国が支出する負担金及び補助金の削減分を見込んでいる。政府としては、当該削減分により財源を確保したことは、東日本大震災復興基本法(平成二十三年法律第七十六号)第七条第一号の規定に沿った対応と考えている。