質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一三六号

満員電車に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年六月二十四日

加賀谷 健   


       参議院議長 平田 健二 殿



   満員電車に関する質問主意書

 国土交通省が昨年十月一日に発表した「平成二十三年度の三大都市圏における鉄道混雑率について」によると、鉄道の混雑状況は新線の建設や幅広車両の導入等による輸送力増強で緩和傾向にあるという。しかし、東京圏では、依然として「新聞を広げて楽に読めない」百八十パーセント以上の混雑率となっている区間が十五区間あり、特に、東京の東側からの通勤客が利用するJR総武線の錦糸町と両国の区間や東京メトロ東西線の木場と門前仲町の区間などは、「体が触れ合い相当圧迫感のある」二百パーセント前後の混雑率が続いているとしている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 鉄道営業法第十五条第二項は「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得」としているが、この条文は現在も効力を有しているのか。この条文が有効な場合、満員電車を運行している鉄道事業者に対し、政府はどのような対応をとっているのか。

二 鉄道営業法第二十六条は「鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス(罰金等臨時措置法により、現在は二万円以下)」としているが、この条文は現在も有効か。有効な場合、政府はこれまで満員電車を運行している鉄道事業者に対し、どのような行政指導を行っているか。また、これまで同条により摘発、処罰された事例があれば、過去三十年間において、年度ごとにその件数を示されたい。さらに、処罰された事例がないとすれば、その理由を示されたい。

三 公務員には職務上、不正を知った場合、告発義務があると承知している。国土交通省は冒頭に述べたとおり、自らが発表している資料により、満員電車が日常的に運行されている事実を承知しているものと考える。従って政府は、当然に満員電車を運行している鉄道会社を捜査機関に告発しなければならないものと考えるが、いかがか。

四 鉄道営業法と鉄道事業法のそれぞれの目的と、違いを示されたい。

五 そもそも、鉄道営業法は明治三十三年に制定され、当時とは社会環境や旅客鉄道を取り巻く状況が大きく変化している中で、同法そのものが陳腐化し、不要なものとなっているのではないか。鉄道事業者が日常的に満員電車を運行せざるを得ない現状の中で、時代にそぐわない法律を放置することにより、真面目に仕事に取り組んでいる鉄道事業者や従業員、さらには鉄道事業を所管する国土交通省職員などが同法違反の疑いを持たれることは適切ではなく、むしろ同法自体を廃止する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 政府として、鉄道営業法や、同法第二十六条を廃止する必要性がないと考えるのであれば、その理由を示されたい。

  右質問する。