質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇三号

向精神薬の子どもへの投与に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年五月十七日

加賀谷 健   


       参議院議長 平田 健二 殿



   向精神薬の子どもへの投与に関する質問主意書

 麻薬と同じような構造式を持つものもある危険な向精神薬が子どもたちにも投与され、その命と健康が脅かされている。私は二〇〇九年五月十四日に「発達障害の子どもたちへの投薬に関する質問主意書」を提出し、政府に実態の把握や対応を求めてきた。しかし残念なことに向精神薬の不適切な投与による子どもの被害はNHKをはじめとする報道機関でも度々取り上げられるなどむしろ深刻化していると考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 先に述べた質問主意書に対する答弁書(内閣参質一七一第一六三号)の中で政府は「発達障害の原因は未解明である」とし、また注意欠陥多動性障害(以下「ADHD」という。)の治療としてコンサータ錠など向精神薬を投与することについて「ADHDの原因が未解明であるため、現時点で効能又は効果が生ずる機序を説明することは困難である」と答弁しているが、この政府の見解は現在でも変わらないか。また見解が変わったとすればどのような理由か示されたい。

二 NHKは二〇一二年六月十三日放送のクローズアップ現代で「『薬漬け』になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」と題し、この問題を取り上げた。この中で、国立精神・神経医療研究センターが、どんな薬を何歳からどれだけの量を与えていたかを、全国の精神科・小児科医を対象に調査したところ、薬物の開始年齢は小学校低学年までが七割を超え、また発達障害の症状がある小学校低学年までの子どもに対し、向精神薬を処方している専門医が全国で七割に達しているとしている。この報道の内容は事実か。また、同センターの調査の目的と概要を示されたい。

三 前記二のように危険な向精神薬が子どもに投与されている実態について政府としてどのような問題意識を持っているのか。

四 前記二の問題について、更なる調査と早急な対策が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

五 厚生労働省は本年三月二十九日に「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」(SSRI)など六種類の抗うつ剤について「小児等への投与は慎重に」と関係団体に通知し、医薬品の添付文書の改訂を要請した。しかし、この添付文書は医師や薬剤師向けで患者にまでいきわたらないのが実態と考える。生命、健康に関わる重要な注意喚起部分についても患者自身がホームページで調べない限り、その情報のすべてを知ることはできない。また、最近患者に手渡される「薬剤情報提供書」においても十分な情報が提供されていないと考える。
 先の厚労省の通知も医療関係者には伝えるよう要請されているが、患者や家族にまでは知らせるようには要請されていない。薬事法の趣旨に則り、分かりやすい表記で添付文書の重要事項が患者等に伝わるようにすべきと考えるが、政府の考え方を示されたい。

  右質問する。