質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第七七号

子ども・被災者支援法に基づく基本方針策定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年四月十一日

神本 美恵子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   子ども・被災者支援法に基づく基本方針策定に関する質問主意書

 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども・被災者支援法」という。)が昨年六月に成立して一年近くが経過するが、いまだに第五条に基づく、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」という。)が策定されていない。そのため、東日本大震災から既に二年が経過するにもかかわらず、原子力発電所事故による被災者は、健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられているのが現状である。根本復興大臣は、三月十五日に「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」(以下「パッケージ」という。)を発表した際、記者の質問に対し、「子ども・被災者支援法による必要な施策についてはこの対策で盛り込んだ」と述べており、基本方針の策定への影響も懸念されるところである。子ども・被災者支援法は、被災者が支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還のいずれを選択した場合においても適切に支援することに加え、放射性物質に対する感受性の高い子どもに対し支援等を明確化したことが特色であるが、その子どもたちも、健康上の不安を抱えたまま成長していくこととなり、被災者の不安の解消及び安定した生活の実現のためには一日も早く基本方針が策定されることが不可欠である。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 子ども・被災者支援法が成立して一年近くが経過しようとしているが、いまだに基本方針が策定されていない理由は何か。また、これまで基本方針の策定に向けて政府はどのような取組を行ってきたのか。

二 子ども・被災者支援法第五条第三項は、「政府は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」と定めているが、基本方針の策定に向けた取組の一環としてこれまでに被災者への意見聴取が実施されているのか。意見聴取が実施されているのであれば、被災者からどのような意見が表明されているのか。もし被災者への意見聴取が実施されていないのであれば、その理由を明らかにされたい。

三 政府が発表したパッケージは、原子力発電所事故による母子避難者等に対する高速道路の無料措置を始め、九十項目にわたるが、どのような考え方に基づいて支援策を選択したのか。また、パッケージによる支援策の対象となる被災者の基準及び対象被災者の人数を明らかにされたい。

四 政府は、パッケージによる支援策を進めるとしており、そのことで子ども・被災者支援法に基づく基本方針を早期に策定する方針に変更があってはならないと思料するが、政府の見解を明らかにされたい。また、いつ頃を目途に基本方針を策定する予定なのか。

  右質問する。