質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第五五号

トラック運送事業者に対する燃料価格高騰による影響の軽減対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年三月十一日

藤末 健三   


       参議院議長 平田 健二 殿



   トラック運送事業者に対する燃料価格高騰による影響の軽減対策に関する質問主意書

 リーマンショック後の世界的金融不安による景気後退以降、平成二十一年に一リットル当たり八十三円程度に下落に転じていた軽油価格(大口需要家向け軽油ローリー渡価格)は、中東情勢の不安定化や最近の円安等により百十円を超えつつある。トラック産業においては、軽油価格が一円上昇するごとに約百六十億円の負担が発生することから、産業全体のコストは平成二十一年に比べて年間で約五千億円増加するおそれがあるとされており、燃料価格の長期間にわたる高騰は、トラック運送事業者をはじめ自動車運送事業者の経営を圧迫している。
 安倍内閣が日本経済再生を目指すのであれば、日本の経済基盤を支える自動車運送事業者が健全に経営できる環境を提供し、国民生活に不可欠な自動車運送サービスの利便性や安全性の向上のため、その発展を促すことが必要であると考える。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 燃料サーチャージ制による軽油価格高騰分の運賃転嫁の実効性の確保

 軽油価格高騰に対応するため、平年二十年三月、国土交通省と公正取引委員会による「軽油価格高騰に対処するためのトラック運送業に対する緊急措置」(以下「緊急措置」という。)が講じられ、その中で、トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドラインの策定や、中央・地方の経済団体等やトラック運送事業者に対する強い働きかけなどが行われている。
1 国土交通省の緊急措置による取組にもかかわらず、燃料サーチャージ制運賃の届出件数は、平成二十年からほとんど変化していない。現下の燃料価格の高騰に鑑み、運送事業者に対して燃料サーチャージ制の導入促進を更に図る必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 燃料サーチャージ制を導入しても、九十九パーセントを中小事業者が占めるトラック運送事業者は荷主等に対し運賃交渉力が極めて弱いため、燃料サーチャージを反映した運送契約を結びにくく、価格転嫁が進まない実態があるのではないかと懸念される。そこで、燃料サーチャージ制の定着及び適正取引の推進のため、政府が中央・地方の経済団体等に今まで以上に強く働きかけていく必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 燃料サーチャージ制による適正な運賃転嫁が図られるようにするために、政府の監督・監査体制等の強化、現行の貨物自動車運送事業法(第二十六条、第六十四条等)、独占禁止法(物流特殊指定に係る不適正取引に対する排除措置命令)、下請法(第七条に基づく勧告)等による対応、更に燃料サーチャージ制の法制化も視野に対策を検討する必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 軽油引取税のトリガー条項の停止の解除

 軽油引取税については、平成二十二年度税制改正において、国税である揮発油税と同様に、ガソリン価格の異常高騰時に、国民生活への影響を考慮し、本則税率を上回る部分の課税を停止するいわゆる「トリガー条項」が設けられている。しかし、揮発油税及び地方揮発油税の「トリガー条項」は、民自公の政党間協議及び政府税調における議論の結果、東日本大震災の復旧及び復興を勘案して別途法律で定める日までの間、その適用を停止することとされ、軽油引取税の「トリガー条項」についても同様にその適用が停止されている。
 しかし、最近の急激な円安等が燃料価格の高騰をもたらしており、ガソリン価格が「トリガー条項」の発動要件である一リットル当たり百六十円に達するおそれもある。国民生活、産業活動を支える公共的物流サービスとしてのトラック運送事業者は、燃料価格の高騰により厳しい経営を余儀なくされており、国民生活に不可欠な低廉で安全なトラック輸送サービスを維持するため、軽油引取税の「トリガー条項」の停止を今こそ解除すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 石油製品の安定供給の確保と国内燃料の価格監視の徹底強化

 現在、円安の進行や原油価格の高止まりなどにより、石油製品の価格の高騰が進んでいる。消費者の不信を招かないためにも、軽油を始めとした石油製品の安定供給の確保、価格監視の強化が必要ではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。