質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第三三号

リハビリテーションを重視した介護サービスの在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年二月十九日

江口 克彦   


       参議院議長 平田 健二 殿



   リハビリテーションを重視した介護サービスの在り方に関する質問主意書

 二〇〇〇年四月に介護保険制度が創設され十三年を迎えようとしている。少子高齢化が進展する中で、介護保険制度をめぐる状況は必ずしも明るいものではない。高齢化の進展による介護保険サービスの利用者の増加と保険料の上昇、介護従事者の処遇改善、認知症対策、単身高齢者世帯の増加に伴う地域での介護の在り方、医療との連携等様々な課題を克服しなければならない。
 これらの課題克服のためには、介護サービスの発想の転換が必要だと考える。利用者が出来なくなったことを補い、支援するという現行のサービスの仕組みこそ、要介護者を増加させ、かつ要介護状態を重度化させる一因になっている可能性があると考える。そのため、介護分野においても「攻め」の介護というべき発想で、積極的な支援を導入することが必要である。
 それにより、要介護状態の軽度化、場合によっては要介護から脱却させるのである。具体的には要支援・要介護認定を行う前に、医学的リハビリテーションによる体力・筋力の強化による身体機能の回復を目指すことが必要である。衰えを補うだけの対症療法から、身体機能を出来る範囲で回復させる積極的支援を行うことにより、ADLを少しでも向上させ、生活の質を高めるのである。
 現在でも、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションはあるが、一度、介護状態になると積極的な回復の視点が抜けてしまっている。もちろんこれは、高齢者に無理な筋肉トレーニングを行うという趣旨ではなく、現在の補完重視の視点から回復、自立へという選択肢を増やす制度設計を行うものである。
 従来、厚生労働省は長期のリハビリテーションについて、医療費削減の観点から、維持期、慢性期の段階になった時点で医療保険を打ち切る政策をとってきた。しかし、それは単に医療保険から介護保険へ高齢者を移すだけの政策である。積極的な医学的リハビリテーションを介護保険で受けられるようにし、少しでも多くの高齢者の方々が、個人の特性や可能性に応じて健康で自立した自分の人生を送ることができるリハビリテーションを重視した介護サービスの在り方について政府の見解を示されたい。

  右質問する。