質問主意書

第181回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四三号

内閣参質一八一第四三号
  平成二十四年十一月二十二日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員佐藤正久君提出中国の習近平新体制発足に際しての日本政府の方針に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出中国の習近平新体制発足に際しての日本政府の方針に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 御指摘の「他国の侵犯あるいは侵攻」の意味するところが必ずしも明らかでないが、政府としては、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つことが国の責務であると認識しているところである。また、御指摘の「中国船舶が尖閣諸島近傍の領海侵犯を繰り返す行為」の意味するところが必ずしも明らかでないが、政府としては、例えば、「海監」と呼称されている中国国家海洋局所属の船舶や「漁政」と呼称されている中国農業部漁業局所属の船舶等が、尖閣諸島に関する中国独自の主張及び中国管轄海域において正常な法執行を行っている旨の主張を繰り返しながら、我が国領海を航行することは、国際法上認められた無害通航には当たらず、極めて遺憾であると考えている。いずれにしても、尖閣諸島周辺海域の警備については、関係省庁が連携して適切に対応しており、御指摘の「危機管理上の備えを見合わせるということ」はなく、今後とも、情勢に応じて海上保安庁のしょう戒体制を強化するなど監視警戒を厳正かつ的確に行ってまいりたい。

二について

 胡錦濤中国共産党総書記(当時)は、平成二十四年十一月八日に行った同党第十八回全国代表大会における御指摘の「政治活動報告」において、「海洋資源の開発能力を高め、海洋経済を発展させ、海洋の生態環境を保護すると同時に、国の海洋権益を断固守り、海洋強国づくりに取り組む。」と述べたと承知しているが、お尋ねは他国の政党の活動や政策の評価に関するものであり、今後の見通しも含め、政府としてお答えすることは差し控えたい。

四について

 海上保安庁においては、我が国の領海の警備に関する情勢の変化等を踏まえ、計画的な巡視船艇及び航空機の整備並びに人員の確保を行うなど、同庁の業務執行体制の強化を進めることとしている。また、自衛隊においては、「平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成二十二年十二月十七日閣議決定。以下「防衛大綱」という。)及び「中期防衛力整備計画(平成二十三年度~平成二十七年度)」(平成二十二年十二月十七日閣議決定。以下「中期防」という。)に基づき、艦艇、航空機及び誘導弾等の整備並びに島しょ部への部隊の配置等により、島しょ部への攻撃に対する対応や周辺海空域の安全確保に関する能力を強化することとしている。
 御指摘の「接舷・放水等の措置」等が海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号)に抵触するかどうかは、個別具体的な状況に即して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難であるが、今後とも、外国公船が、我が国領海において無害通航には当たらない航行をした場合には、当該公船に対し、我が国の領海外への退去要求等の措置を適切に行ってまいりたい。

五について

 政府としては、防衛大綱及び中期防に基づき、島しょ部に対する攻撃への対応など、我が国の防衛態勢の充実を図るとともに、平素から、日米共同訓練等により、自衛隊と米軍との共同対処の能力及び相互運用性の維持・向上を図っているところである。
 また、御指摘の「中長距離の対艦ミサイル」の意味するところが必ずしも明らかでないが、島しょ部への攻撃に対する対応能力を強化するため、例えば、陸上自衛隊においては、十二式地対艦誘導弾の整備を行っているところである。
 なお、我が国の防衛態勢の整備については、特定の国を対象として行っているものではない。