質問主意書

第181回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一八一第二八号
  平成二十四年十一月十六日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員長谷川岳君提出法曹養成制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員長谷川岳君提出法曹養成制度に関する質問に対する答弁書

一について

 司法修習生に対して修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう。)を貸与する制度(以下「貸与制」という。)は、裁判所法の一部を改正する法律(平成十六年法律第百六十三号)により導入されたものである。また、この修習資金に関しては、「裁判所法の改正に関する件」(平成二十二年十一月二十四日衆議院法務委員会決議。以下「決議」という。)において、平成二十三年十月三十一日までに、「個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」について格段の配慮を求められたことから、政府は、御指摘の「法曹の養成に関するフォーラム」(以下「フォーラム」という。)を開催したところ、フォーラムにおいては、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討した結果、貸与制を基本とすることとしたものであり、政府としては、十分な検討が行われたものと考えている。

二及び三について

 御指摘の「司法修習終了者等の経済的な状況に関する調査」(以下「経済状況調査」という。)は、司法修習終了者等の経済的な状況を把握するため、最高裁判所、最高検察庁及び日本弁護士連合会の協力の下、フォーラムの庶務を担当する法務省において実施したものである。経済状況調査のうち、収入及び所得の調査については、司法修習終了後十五年以内の弁護士を対象として、平成十八年から平成二十二年までの収入及び所得の調査をしたものであり、同調査の回収率は、日本弁護士連合会からも対象者に対して同調査への協力を呼び掛けたこともあり、約十三・四パーセントとなったものである。
 フォーラムにおいては、決議の趣旨を踏まえ、経済状況調査の結果に加え、オブザーバーである日本弁護士連合会から提出された司法修習生や法科大学院生等へのアンケートの結果が記載された資料、当該フォーラムの構成員及びオブザーバーからの意見等を検討した結果、前記の結論に至ったものであり、政府としては、適切な手続の下に必要な検討が行われたものと考えている。

四及び五について

 お尋ねの「給費を受けられないことを理由とする司法修習断念者の発生」、「格差の司法制度への浸食及びそれに伴う国民の不利益」、「貸与制のもとで修習をする者の身分的・経済的不安等」については、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)の第三回会議においてオブザーバーである日本弁護士連合会から提出された資料等により、そのような趣旨の指摘があることは承知している。また、お尋ねの「法曹志願者の激減」については、法科大学院適性試験及び法科大学院の志願者数が減少傾向にあることは承知している。
 貸与制については、「裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十四年六月一日衆議院法務委員会。以下「附帯決議」という。)の趣旨、法曹養成制度の現状等を踏まえ、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすることにも配慮して、検討会議において検討を行う予定である。また、検討会議においては、司法修習生に対する経済的支援の在り方について、附帯決議に示されている司法修習生の修習専念義務の在り方等を含む多様な観点から検討を行うことが予定されている。