質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六四号

環境金融への取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十六日

加藤 修一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   環境金融への取組に関する質問主意書

 公明党が積極的に取り組んだクラスター弾禁止条約(オスロ条約)が平成二十二年八月に発効するのに先立ち、同年七月に我が国のメガバンク二行(三菱東京UFJ銀行及び三井住友銀行)がクラスター爆弾製造を目的とした資金調達への投融資を内規で禁じたことが注目された。これは「倫理的投融資」の先駆けとも言える動きであった。
 このような我が国における倫理的投融資・社会的責任投資への関心が高まる状況の中で、平成二十二年六月に中央環境審議会「環境と金融に関する専門委員会」により報告書「環境と金融のあり方について~低炭素社会に向けた金融の新たな役割~」(以下「報告書」という。)が取りまとめられた。そして、報告書の提言を受けて、平成二十三年十月に「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(二十一世紀金融行動原則)」(以下「行動原則」という。)が策定され、その趣旨に賛同する署名が百八十三社の金融機関等からなされている(平成二十四年十月二十六日時点)。このように、我が国における環境金融への取組は徐々に広がりつつある。
 一方、諸外国においては、年次財務報告書における環境報告を法的に義務付ける国(二〇〇五年二月時点、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランス、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド及びアメリカ)や独立した環境報告書の作成及び開示を法的に義務付けている国(二〇〇五年二月時点、デンマーク及びオランダ)がある。また、報告書によると、年金基金に対して投資方針の中に社会・環境・倫理への考慮がある場合にはその内容・程度についても開示することを法的に義務付けている国(イギリス、ドイツ、スウェーデン等)がある。このように、諸外国においては、我が国よりも先進的な環境金融への取組が見られる。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 報告書には「環境金融の拡大には、政策との連動が必要」とあり、政策の類型の一つとして、「企業の環境関連情報の開示・提供の促進」が挙げられている。我が国においても、諸外国のように企業に対して有価証券報告書を通じた環境関連情報の開示や環境報告書による環境情報の開示を法的に義務付ける時が到来していると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 行動原則の趣旨に賛同する署名について、民間金融機関等による署名がなされている。投融資に係る独立行政法人等の政府系機関も署名すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 報告書の「具体的な政策の提案」において、「年金基金による環境配慮投資の促進」が挙げられている。これに関連して、年金基金の環境配慮投資又は社会的責任投資に関する方針の開示について、その現状はどのようになっているか。また、今後どのようにすべきと考えているか、政府の見解を示されたい。

四 前記三と関連して、公的年金基金には他の機関投資家よりも率先して投資判断に環境等への配慮を織り込んでいくことが求められるが、その現状はどのようになっているか。また、今後どのようにすべきと考えているか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。