質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五九号

質の高い連携病理診断の推進による国民が受ける医療の質の向上に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十五日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   質の高い連携病理診断の推進による国民が受ける医療の質の向上に関する質問主意書

 病理診断は平成二十年に診療標榜科として認められたことにより、診療報酬においても第三部検査より第十三部病理診断として分離された。そして、平成二十四年に病理診断管理加算及び連携病理診断の算定が認められたことで、国民にとって病理診断がより身近なものとなり、医療の質が高まることが期待されている。このように国のこれまでの対応は大いに評価されるものである。
 病理診断管理加算の算定が、病理部門を院内に設置しており、病理診断を専ら担当した経験を十年以上有する常勤医が一名配置されていることという施設基準を満たすことで認められるのは、病理診断の質を確保するための医療機関の体制につき、十分に検討がなされた結果であると解される。
 一方、連携病理診断においては、標本の送付側である保険医療機関に五年以上の病理診断業務の経験を有し、病理組織標本を作成できる常勤の検査技師が一名以上配置されていることが施設基準となっていることから、特に小規模保険医療機関においては標本を送付して連携による病理診断に参画することが困難となっている。
 しかしながら、必ずしも標本の送付側保険医療機関が病理標本作成を行う必要はなく、標本の受取側保険医療機関が五年以上の病理診断業務の経験を有し、病理組織標本を作成できる常勤の検査技師を配置させることにより、標本の受取側保険医療機関において病理標本作成を行うことが可能となり、連携病理診断の質は確保できるものと思料する。
 また、常勤の検査技師による標本作成が前提となるならば、標本の受取側である保険医療機関に病理診断を専ら担当した経験を十年以上有する常勤医が一名配置されていることをもって標本の送付側である保険医療機関に病理診断料及び病理診断管理加算を算定させても、病理診断に係る評価体系において整合性が取れるものと思料する。
 すなわち、平成二十四年の診療報酬改定において標本の受取側の施設要件は特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院、へき地医療支援病院のみと定められたものの、これを病理診断を専ら担当した経験が十年以上ある常勤医が一名いることと緩和しても病理診断の質の低下にはつながらず、むしろ国民が病理診断を受けやすい体制整備に資するものと思料する。
 病理診断をより国民にとって身近なものとする観点から、以下質問する。

 連携病理診断における標本の送付側保険医療機関に対する施設要件として定められている「常勤の検査技師一名以上」を送付側または受取側の保険医療機関の施設要件へと緩和するとともに、標本の受取側保険医療機関の施設要件として特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院、へき地医療支援病院のみと定められているものを、病理診断を専ら担当した経験を十年以上有する常勤医が一名配置されている保険医療機関と緩和することにより、病理診断の質を確保しながら病理診断に参画する病理医を増加させ、病理診断を行いやすい環境を整備することは、国民が受ける医療の質の向上につながると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。