質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五八号

消防飛行艇及び人体と環境に配慮した泡消火剤を用いた空中消防体制の強化に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十五日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   消防飛行艇及び人体と環境に配慮した泡消火剤を用いた空中消防体制の強化に関する再質問主意書

 平成二十四年十月三十日提出の「消防飛行艇及び人体と環境に配慮した泡消火剤を用いた空中消防体制の強化に関する質問主意書」(第百八十一回国会質問第五号)(以下「質問主意書」という。)に対する答弁書においては、空中消火活動の重要性について言及がなされている。他方で、大規模火災については、空中消火活動における自治体と自衛隊との連携に関するマニュアルを取りまとめたとの答弁がなされているものの、私が質問主意書の中で指摘したように、東日本大震災における大規模火災への対応は課題の残るものであった。しかしながら、消防飛行艇を導入する際の課題及び泡消火剤の使用についての課題は明確にされていることから、課題克服に協力する立場で再質問を提出する。
 消防飛行艇の導入により大量散水が可能になるとの指摘は的を射ているものであり、一度に散水可能な量が多いという利点だけでなく、質問主意書で指摘したようにより早い速度及び天候や火勢の影響を受けにくいことも合わせ考えると消防飛行艇を用いて取水を繰り返すことによる散水効果は極めて高いと言える。
 また、運用の効率性や維持管理の経費に関する指摘についても全く的を射たものであるが、平成二十一年三月の「消防防災ヘリコプターの効果的な活用に関する検討会報告書」のマニュアルで連携が求められた自衛隊においては、例えば、水陸両用の飛行艇が平成二十二年には漁船、韓国海軍、中国貨物船に対して救難支援活動を行うなど尊い経験が蓄積されている。こういった国際貢献にも資する救難捜索や傷病者の搬送等を通して人命救助等に貢献してきた自衛隊の尊い活動は国民の命を守るという観点で大規模火災においても活かされるべきであり、消防庁は自衛隊の尊い活動をヘリコプターによる連携だけに矮小化すべきではない。
 自衛隊が所有する救難飛行艇に水槽を付加して取水及び散水できる機能を持たせるような改造が技術的に可能である場合、現体制において改造を行うか、次期配備予定の飛行艇に消防機能を付加させることを早急に検討することにより、消防庁が指摘する人員及び維持管理の課題を解決することができるものと思料する。
 一方、泡消火剤の使用については、林野火災において既に実用化されていることから、その撹拌及び消防ヘリへの搭載(以下「撹拌等」という。)は実施されているところである。そもそも、国内の消防機関で配備されている消防ヘリは胴体下部にタンク装置が取り付けられており、直接水源地より自己給水ポンプにて給水が可能であるため、自動混合装置により最適な泡消火剤を混合することが可能であるから、着陸の必要もなく、土地の確保、攪拌等に多くの時間と労力を要しない。
 さらに、使用の判断を各消防機関に委ねるとの答弁も、自治体の範囲で発生した火災については同意するが、県境を超えるような大規模火災についての対応は国の考え方が示されるべきである。なお、質問主意書の趣旨としては、現在使用されている合成界面活性剤を用いた泡消火剤は人体、環境に影響を及ぼしうることに鑑み、環境に配慮した泡消火剤の使用を求めたものである。
 よって、政府指摘の消防飛行艇及び人体と環境に配慮した泡消火剤を用いた空中消防体制の強化に関する課題をともに克服する立場から、以下再質問する。

一 政府が保有する救難飛行艇を改造する、または新規配備に当たり水槽を付加させることにより消防飛行艇とすることが技術的に可能なのか。政府の見解如何。

二 前記一で改造が可能ならば、一つの提案として検討を行うべきであると考えるが、政府の見解如何。

三 環境に優しい泡消火剤の開発及び使用について政府は推進すべき立場と考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。