質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四一号

日米防衛協力のための指針及び周辺事態安全確保法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十三日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   日米防衛協力のための指針及び周辺事態安全確保法に関する質問主意書

 「日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)は、平成九年に改定され、その目的を、周辺事態に際してより効果的で信頼性ある日米協力を行うこととし、そのために必要な措置として、平成十一年、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「周辺事態安全確保法」という。)等の法整備が行われた。
 一方、南西諸島方面での動き、北朝鮮の核・ミサイル開発の動き、及びサイバーテロ対処等、我が国を取り巻く安全保障に係る周辺環境が変化しているのも事実であり、指針や周辺事態安全確保法などの見直しのため、議論を行うべきとの意見がある。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 指針改定当時と現在の我が国を取り巻く安全保障環境における相違点は何か、政府の見解を明らかにされたい。またそのうち、日米の防衛協力に影響を与える分野は何か、明らかにされたい。

二 平成二十四年九月の日米防衛相会談においては、我が国のRMC(役割・任務・能力。以下同じ。)及び指針に関する研究・議論の重要性について再確認し、今後必要な研究・議論を行っていくことで一致したとされている。即ち、日米両政府は、指針再改定を視野に入れ、研究・議論を進めていくと考えられるが、我が国を取り巻く周辺環境や在沖縄海兵隊の再編見直しを受け、日本のRMCは変化せざるを得ないと考える。このため、できるだけ早期に再改定についての具体的方向性を示すべきだと考えるが、政府の見解如何。

三 指針を再改定する場合、実効性を高めるための具体的措置として、周辺事態安全確保法や周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律等の法的基盤を見直す必要があると想定されるが、政府の見解如何。

四 周辺事態安全確保法では、後方地域支援として物品役務の提供が可能であるが、同法別表第一の備考に「物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。」、「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」、「物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送(傷病者の輸送中に行われる医療を含む。)を除き、我が国領域において行われるものとする。」と規定されている。これらの規定が、同法別表第一に記載された理由について、政府の見解如何。また、今後、指針再改定議論の中で米軍から要望があった場合、または日本が各種支援を行うことが想定される場合は、憲法との整合性を図りつつ、周辺事態安全確保法を改正する必要があると考えるが、政府の見解如何。

五 周辺事態安全確保法においては、公海上における物品及び役務の提供は認められていないが、過去にあったテロ対策特措法や補給支援特措法では、公海上における物品・役務の提供を認めていた。周辺事態安全確保法における「後方地域」は「戦闘地域」と区分されており、また「武器弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を除く物品及び役務の提供であれば、その行為自体が武力の行使にあたらず、憲法上の問題はないと考えるが、政府の見解如何。
 また、森本防衛大臣は、本年七月二十六日、参議院外交防衛委員会において、公海上での補給について、「現在の安全保障環境に照らして、その前提が妥当であるか議論していく」、「今後の日米同盟の下で一層多くのリクワイアメントが出てくる」旨答弁している。これらの答弁を政府見解ととらえてよいか、明らかにされたい。政府見解である場合には、周辺事態安全確保法を改正すべきだと考えるが、政府の見解如何。

六 周辺事態安全確保法は、武器弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備に関して、規定を設けていないが、その理由について、政府の見解を明らかにされたい。また、この給油及び整備は、憲法第九条に定めるところの「武力による威嚇又は武力の行使」にあたるのか、政府の見解如何。さらに、急迫不正の侵害に対処するため、自衛権の行使上、憲法上許される範疇に該当すると認められるケースは全くないと言えるのか、政府の見解如何。

七 周辺事態安全確保法は、情報提供に関して規定を設けていないが、周辺事態が認定された後についても、日本政府から米国への情報提供には制約がないと考えてよいのか、政府の見解如何。また、憲法の枠を超える情報提供が生起することが想定されるならば、周辺事態安全確保法の改正を行う必要があると考えるのか、政府の見解如何。

  右質問する。