質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三六号

シリア国内の戦闘状況及び国際社会のシリア安定化への取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月九日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   シリア国内の戦闘状況及び国際社会のシリア安定化への取組に関する質問主意書

 シリア国内ではアサド政権と反政府勢力との戦闘が続いており、国連とアラブ連盟が合同で提案したイスラムの祝祭「犠牲祭」停戦の期間中においても戦闘が発生したようである。シリアのゴラン高原では、国連兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という。)として自衛隊が駐屯しているが、シリア国内での戦闘悪化により、活動が制限されている状況が続いている。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 シリア国内でのアサド政権と反政府勢力との戦闘は激化しているとの見方があるが、過去数ヶ月の戦闘状況について、日本政府の評価を明らかにされたい。また、シリアにおける邦人保護のための施策について明らかにされたい。

二 前記の「犠牲祭」停戦について、日本政府の評価を明らかにされたい。また、この停戦仲介への日本政府の関与の有無、及び、もし関与していればその事実関係について、明らかにされたい。

三 シリア国内に展開している各国連PKOの活動状況について、日本政府の評価、関与及び支援策について明らかにされたい。

四 現在のシリア情勢に鑑みて、シリア国内全土において、PKO参加五原則は守られていると考えるか、あるいはゴラン高原などの一部地域だけにおいて守られていると考えるか、日本政府の見解如何。

五 反政府勢力のうち、国又は国に準ずる組織はあるか、あるいはゲリラ組織はあるか、日本政府の見解如何。また、全ての反政府勢力について、それぞれ日本政府の評価を示されたい。

六 五月九日から、外務省の招聘により、反政府組織の一つである「シリア国民評議会」のガリウン議長(当時)が訪日した。反政府勢力内における同組織の位置付けについて、日本政府の見解如何。また、同組織と他の反政府勢力の組織との違いについて、日本政府の見解如何。

七 同議長招聘に関し、その目的と意義、我が国にとってのメリット、デメリット及びシリア安定化に及ぼす影響について、日本政府の見解如何。

八 国連のラズース事務次長は、停戦状況によっては、新たなPKO部隊の派遣を検討すると述べている。仮にPKO参加五原則上の課題が解決した場合、中東和平プロセスやシリア国内の安定化に関して我が国の責務を果たす観点から、新たなPKOに参加することは意義があると考えるが、日本政府の見解を明らかにされたい。また、ラズース事務次長は、PKOにおける我が国の役割を評価する一方、計十万人規模のPKO要員のうち、我が国の派遣は五百二十七人であることを指摘し、「多いとは決して言えない」とも「制約の中でももっと貢献できるはずだ」とも述べている。この発言について、日本政府の見解を明らかにされたい。さらに、ラズース事務次長は、「施設部隊員、医療班、警官、とりわけ女性警官など、高い技能を有する人材を特に必要としている」と述べ、我が国に対し高い期待を示していることについて、日本政府の見解を明らかにされたい。

九 十一月三日にゴラン高原の非武装地帯にシリア軍の戦車三台が侵入し、十一月五日にイスラエル軍車両がシリア側から銃撃を受けたなどの情報がある。もしこれらが事実であれば、今後同地域が戦闘地帯になる可能性も否定できず、今まで以上に情報収集を強化する必要があると考える。同地域の情勢評価について、日本政府の見解を明らかにされたい。また、現在、UNDOFに派遣されている自衛隊部隊のシリア側における活動状況について明らかにされたい。現在、業務を中断しているとすれば、中断開始からの経過日数について明らかにされたい。

  右質問する。