質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二五号

日米安全保障協議委員会共同発表に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月六日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   日米安全保障協議委員会共同発表に関する質問主意書

 本年四月二十七日の日米安全保障協議委員会(以下「2プラス2」という。)共同発表では、海兵隊の沖縄からグアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納以南の土地の返還について、普天間飛行場代替施設の進展に関する事案から切り離すことを発表したほか、グアムと沖縄における部隊構成や返還される沖縄の土地の区分及び返還手続について言及している。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 沖縄とグアムの海兵隊部隊構成に関して、「2プラス2」の共同発表の内容は、平成十八年五月に定められた「ロードマップ」の内容と異なっている。ゆえに、平成二十一年二月に日米間で署名された「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」(以下「グアム協定」という。)を見直す必要があると考えるが、政府の見解如何。
 また、「2プラス2」共同発表から半年以上経つが、いまだグアム協定の見直し案が国会に提出されないことは、政府の怠慢であり、沖縄の負担軽減につながらないと考えるが、政府の見解如何。

二 「2プラス2」共同発表によれば、沖縄の海兵隊は、グアムやハワイなどに移転されるほか、豪州へのローテーション展開を行うとされているが、これらを担保するための経費のうち、我が国の負担の有無及び、負担分がある場合にはその内訳について、明らかにされたい。

三 グアム協定に基づき、日米両政府が資金提供してきたが、その内訳を、日米毎に、年度、事業区分別に契約済か未契約かを区分して、明らかにされたい。また、未契約分の資金については、移転する部隊構成及びその関連施設が未確定であること、環境アセスメント等の要因により事業内容の変更が予期されること、また、事業開始の時期がいまだに見通せないことなどから、一旦資金を引き揚げ、新協定を発効した後、再度資金提供について検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

四 グアム協定に基づき、日本政府が米国に提供する資金のうち、平成二十三年度及び平成二十四年度予算に計上されながら、実際は米国側に資金提供されていない金額について、年度、事業区分毎に明らかにされたい。また、これらの資金の扱いについて、政府の見解如何。

五 米国議会は、平成二十三年成立の財政管理法により、今後十年間で国防費を約四千五百億ドル削減すると発表した。この削減が在日米軍再編へ与える影響について、政府の見解如何。
 また、米国議会は、平成二十四年会計年度の国防授権法案を修正議決し、在沖縄海兵隊のグアム移転関連予算を全面凍結した。米国議会は、これを解除する条件として、「グアム移転の建設計画などを明確にした新たな全体計画」等を要求したが、これについて、日本政府が把握している全容を明らかにされたい。また、これらが在日米軍再編に及ぼす影響について、政府の見解如何。

六 「2プラス2」共同発表は、嘉手納以南の土地返還に関し、「手続後の速やかな返還が可能となる区域」として、キャンプ瑞慶覧や牧港補給地区の一部をあげている。さらに、玄葉外務大臣は、参議院外交防衛委員会等で、普天間飛行場代替施設の進展から嘉手納以南の土地返還を切り離すことにより、土地返還が早く進む旨の発言をしているが、いまだ返還の兆しすら見えない。これは沖縄県民の期待を裏切るものと考えるが、政府の見解如何。また、嘉手納以南の土地返還の進捗状況について、普天間飛行場を除く五つの対象区域毎に明らかにされたい。

七 「2プラス2」共同発表で、米海兵隊のグアム移転及びその結果として生ずる嘉手納以南の土地返還の双方を、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すと言及しているが、辺野古移設の進捗が図られなければ、普天間飛行場の固定化が一層現実のものとなるとの指摘もある。野田総理大臣は、普天間飛行場の固定化回避の決意だけを繰り返し述べているが、一方で具体的な進展が国民には見えない。固定化回避のための具体的動き及び進展について、政府の見解を示されたい。

八 普天間飛行場の固定化回避の動きが国民に見えない中、普天間飛行場の補修やCH46のオスプレイへの換装等基地機能強化策だけは見える。これら基地機能強化策が、普天間飛行場の固定化につながらない理由について、政府の見解を明らかにされたい。
 また、「2プラス2」共同発表は、普天間飛行場の補修事業について日米が相互に貢献することとされている。滑走路の維持及び補修や米軍施設の改修等のうち、日本側が資金提供しているものについて、平成二十三年度、二十四年度、二十五年度(概算要求分)毎に、対象施設とその予算額を明らかにされたい。

九 沖縄の米海兵隊の部隊構成の変化に伴い、周辺に対し実効的に抑止及び対処するために、自衛隊による南西諸島防衛体制及び態勢の変化が求められる。ゆえに、現中期防衛力整備計画を主体的に見直す必要があると考えるが、政府の見解如何。また、その見直しの時期について、政府の見解如何。

  右質問する。