質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六〇号

内閣参質一八〇第二六〇号
  平成二十四年九月十八日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出八ツ場ダムが利根川の水位を低下させる効果に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出八ツ場ダムが利根川の水位を低下させる効果に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の平成二十一年二月十九日の衆議院予算委員会第八分科会における永岡桂子衆議院議員に対する国土交通省河川局長(当時)の「水位を低下させる」旨の答弁は、同議員の「利根川の治水対策には万全を期すべきと考えますが、国土交通省のお考えをお聞かせ願えればと思います。」との一般的な御質問に対し、一般論として、一級河川利根川水系の治水対策についての当時の考えをお答えしたものである。

二について

 衆議院議員塩川鉄也君提出八ッ場ダムの検証における治水に関する質問に対する答弁書(平成二十四年四月六日内閣衆質一八〇第一六〇号)七についてで「算出していないことからお答えすることは困難である。」と述べた八ッ場ダムの洪水調節による一級河川利根川水系「利根川本川の江戸川分派地点より下流の部分及び一級河川利根川水系江戸川」の「水位低下量」については、その計算に係る作業等に時間を要するため、お答えすることは困難である。

三について

 御指摘の「嶋津氏の計算」については、その算出方法等の具体的内容について承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 御指摘の「虫明功臣教授が指摘する計算」については、その算出方法等の具体的内容について承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、一般的に、ダム地点からの距離が長くなるに従って、洪水時のピーク流量の低減効果が徐々に小さくなるとされているが、水位の低下量については、河道の形状等による影響も考慮する必要があるため、「より下流に行けば行くほど水位を下げる効果は減じる」とは一概に言えないものと考える。

五について

 お尋ねの「具体的な計算結果」の意味するところが必ずしも明らかではないが、八ッ場ダムの洪水調節による一級河川利根川水系利根川本川の江戸川分派地点より下流の部分及び一級河川利根川水系江戸川における水位低下量について、国土交通省として算出した結果を示す資料は、現時点において確認されていない。

六の1について

 御指摘の「八ツ場ダムでは二千四百立法メートルの水をもつ」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六の2について

 国土交通省が現時点で把握している限りにおいては、御指摘の東京都江戸川区土木部長(当時)の陳述に係る計算を裏付ける根拠や資料について、同省が同区から提供された事実はない。

六の3について

 御指摘の「主張の根拠となる資料」が何を指すのか必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六の4について

 国土交通省が現時点で把握している限りにおいては、一級河川利根川水系江戸川の東京都江戸川区の区間における八ッ場ダムの洪水調節による水位低下量について、同省職員が同区に対して説明した事実はない。

七の1から3までについて

 御指摘の「検証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、昭和二十三年一月に建設院関東地方建設局(当時)が取りまとめた「カスリーン洪水(昭和二十二年九月)と利根川本川東村堤防決潰について」においては、利根川の堤防決壊について、「合流点における水位の異常なる上昇に加えて更に栗橋における国道四号線の橋梁およびこれに平行する東北本線鉄道橋ならびにその二・二キロメートル上流にある東武線橋梁の三橋がいずれも桁を洗いこれらが多少堰上げたことも手伝って決潰地点附近の水位は堤防高を超え、おおよそ延長千三百メートルにわたって溢流をはじめ最大水深は〇・五メートルに達したと推定せられている。かくして溢流した水は除々に堤防の裏小段を崩壊し、次第にこれが拡大しついに幅二百~三百五十メートルにおよぶ大決潰口を生ずるにいたったのである。」と記録されている。

七の4から6までについて

 御指摘の「宮村教授と同じように、水位が下がることは、それが何センチメートルであっても重要だと考えている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、洪水時の河川の水位を下げて洪水を安全に流すことが治水の原則であると考えており、この原則について、様々な機会を通じて周知してきたところである。