質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三三号

内閣参質一八〇第二三三号
  平成二十四年八月三十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員佐藤正久君提出香港民間団体による尖閣諸島上陸事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出香港民間団体による尖閣諸島上陸事件に関する質問に対する答弁書

一について

 公務執行妨害罪については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十五条第一項において、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者を罰する旨を規定しており、この暴行又は脅迫は、公務員の職務執行の妨害となるべき程度のものであることを要すると解されている。
 御指摘の事案においては、御指摘の「「保釣行動委員会」の船」に乗船していた者から海上保安庁の巡視船に向けてれんが片等の投てきがあったものであるが、当該巡視船に乗船していた海上保安官の職務執行の妨害となるべき程度のものとまでは認められなかったことから、第十一管区海上保安本部長において、公務執行妨害罪には当たらないと判断したところである。政府としても、この判断は適切なものであったと考えている。

二について

 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十五条は、司法警察員が不法入国等同法第七十条の罪に係る被疑者を逮捕するなどした場合において、その者が他に罪を犯した嫌疑のないときには、当該被疑者について刑事手続を進めるよりも退去強制手続の速やかな実現を図るのが適当な場合があり得ることを考慮して設けられたものであり、その適用は、不法入国等の目的が我が国における就労である場合のみに限定されるものではないと考えている。

三について

 御指摘の事件における被疑者の釈放は、検察当局が、法と証拠に基づいて適切に判断したものと承知しており、御指摘は当たらないものと考えている。