質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八九号

内閣参質一八〇第一八九号
  平成二十四年七月二十四日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員山谷えり子君提出米エネルギー省提供の放射線測定データに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出米エネルギー省提供の放射線測定データに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、平成二十三年三月十八日以降に米国エネルギー省から提供を受けた御指摘の「汚染地図」データ(以下「米国モニタリングデータ」という。)とは別に、文部科学省等は、同月十五日以降に行った放射線モニタリングにおいて、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所の北西方向で局所的に高い空間線量率を観測し、同省は、同月十六日以降にその結果を随時公表している。

二について

 米国モニタリングデータについて、当時、経済産業省政務三役に報告が行われたという事実は確認されていないが、米国モニタリングデータのうち、平成二十三年三月二十日に外務省事務方が文部科学省事務方に提供したものについては、同月二十一日に同省事務方から同省政務三役に報告が行われた。また、当時、防衛省は米国モニタリングデータの提供を受けていない。

三について

 お尋ねの「照合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当時、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算結果と米国モニタリングデータを比較検討した事実は確認されていない。

四について

 一についてで述べたとおり、文部科学省は、平成二十三年三月十六日以降に、同省等が行った放射線モニタリングの結果を公表している。内閣府原子力安全委員会は、当該結果及び国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告等を踏まえ、同年四月十日に、東京電力の福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)発生から一年以内に積算線量が二十ミリシーベルトに達するおそれのある区域を計画的避難区域とすることを提案した。原子力災害対策本部は、当該提案を踏まえ、当該区域を含む地方公共団体に事前の説明を行った上で、同月二十二日に、計画的避難区域を設定したものである。

五及び七について

 政府としては、関係機関において、情報の共有を含め連携が不十分であったと認識しており、今後は、外国による放射線モニタリングの結果も含めて、活用手順をあらかじめ定めるなど、適切な対応を行うよう努めてまいりたい。また、本件事故により被害を受けた住民に対しては、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)に基づく東京電力による賠償が適切かつ迅速に行われるよう政府としても万全を期してまいりたい。

六について

 防衛省は、東日本大震災への対応から得られた教訓も踏まえ、高線量等の環境下における情報収集を有効に行うため、平成二十三年度第三次補正予算において、無人偵察機システムに線量計等を装備させるとともに、可視カメラ等を装備した無人航空機を新たに取得し、それらの有用性を検証する等の経費として約十三億円を計上し、現在、所要の調達を行っているところである。