質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七一号

内閣参質一八〇第一七一号
  平成二十四年七月十日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員加藤修一君提出原子力規制委員会設置法、改正原子力基本法、改正原子炉等規制法における「我が国の安全保障に資する」との文言の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出原子力規制委員会設置法、改正原子力基本法、改正原子炉等規制法における「我が国の安全保障に資する」との文言の解釈に関する質問に対する答弁書

一、三、五及び七について

 原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号。以下「設置法」という。)第一条及び第三条並びに設置法による改正後の原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第二条及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第一条において「我が国の安全保障に資する」という文言が規定された趣旨については、平成二十四年六月二十日の参議院環境委員会における原子力規制委員会設置法案の審議や「原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議」(平成二十四年六月二十日参議院環境委員会。以下「附帯決議」という。)等を踏まえ、設置法により原子力規制委員会が原子力安全規制、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置の業務を一元的に担うという観点から規定されたものと理解している。お尋ねの同月十八日の参議院環境委員会における原子力規制委員会設置法案の趣旨説明にある「我が国の安全保障に資する」との文言は、設置法第一条の規定内容の説明において使われたものであり、その趣旨についても同様のものであると理解している。
 原子力基本法第二条の原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り行うものとする旨の規定内容は、設置法による原子力基本法の改正前後を通じて変わるところはなく、設置法は、我が国の原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限るという方針に何ら影響を及ぼすものではない。また、野田内閣としては、非核三原則を堅持していく方針に変わりはない。

二について

 お尋ねの平成二十四年六月二十日の参議院環境委員会における原子力規制委員会設置法案の審議での答弁の趣旨については、設置法第一条並びに設置法による改正後の原子力基本法第二条及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第一条において「我が国の安全保障に資する」という文言が規定された趣旨について、設置法により原子力規制委員会が原子力安全規制、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置の業務を一元的に担うという観点から規定されたものであり、「全く非核三原則、そして軍事転用を目的としたものでは」ないことを説明したものと理解している。

四について

 設置法による改正後の原子力基本法第二条第一項及び第二項における「安全の確保」については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として行うものと理解している。

六及び九について

 原子力基本法第二条の原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り行うものとする旨の規定内容は、設置法による原子力基本法の改正前後を通じて変わるところはなく、設置法は、我が国の原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限るという方針に何ら影響を及ぼすものではない。また、野田内閣としては、非核三原則を堅持していく方針に変わりはない。我が国は、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)上の非核兵器国として、核兵器等の受領、製造等を行わない義務を負っている。
 政府としては、附帯決議も踏まえて、我が国の原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限るという方針を国民に対して適切に説明していくこととしている。

八について

 お尋ねの平成二十四年六月二十一日の記者会見における藤村内閣官房長官の発言は、一、三、五及び七についてで述べた政府としての理解及び方針を説明したものである。