質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七〇号

内閣参質一八〇第一七〇号
  平成二十四年七月十日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員佐藤正久君提出東日本大震災を踏まえた教訓事項の整理・活用等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出東日本大震災を踏まえた教訓事項の整理・活用等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の米国モニタリングデータ(以下単に「米国モニタリングデータ」という。)について、当時、総理大臣官邸、外務省政務三役及び経済産業省政務三役に報告が行われたという事実は確認されていないが、米国モニタリングデータのうち、平成二十三年三月二十日に外務省事務方が文部科学省事務方に提供したものについては、同月二十一日に同省事務方から同省政務三役に報告が行われている。
 また、当時、政府において、米国モニタリングデータを公表しなかった理由及び住民の避難に活用しなかった理由については、現時点では定かではない。なお、米国モニタリングデータについては、政府が受領した当初は対外公表を前提として提供されたものではなかったことから、これを公表するよう米国に要請しており、その後、同国により公表されている。

三について

 防衛省は、平成二十三年三月二十四日から四月一日までの間、文部科学省が関係府省と調整して定めた計画に基づき、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所付近の大気中の放出放射性物質の放射能濃度について、航空自衛隊の固定翼機延べ十一機により測定を実施した。その結果については、文部科学省が公表しているが、避難区域の変更等に活用した事実は現時点では確認できない。
 また、防衛省は、東日本大震災への対応から得られた教訓も踏まえ、高線量等の環境下における情報収集を有効に行うため、平成二十三年度第三次補正予算において、陸上自衛隊の無人偵察機システムに線量計を装備させ、その有用性を検証する等の経費として約一億円を計上し、現在、所要の調達を行っているところである。

四について

 お尋ねの「最終報告」については、政府における東日本大震災に係る検証等を踏まえ、可能な限り速やかに取りまとめたいと考えている。

五について

 原子力発電所のテロ対策については、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年通商産業省令第七十七号。以下「規則」という。)において、関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)を含む各原子力事業者に対して、妨害破壊行為等の脅威に備えることを義務付けているところ、平成二十三年十二月に、東京電力の福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)の教訓を踏まえ、規則を改正し、関西電力を含む各原子力事業者に対し、原子炉施設の電源及び冷却機能の維持に係る屋外の設備を防護する等の対策を講ずることを求めている。また、平成二十四年三月に、国際原子力機関(IAEA)の最新の核物質防護勧告を踏まえ、規則を改正し、関西電力を含む原子力事業者に対し、原子力事業者が設置する見張人の詰所が使用できない場合に備えた監視所を設置する等の警備の強化を求めている。加えて、原子力発電所等の警戒警備体制の強化に必要な警察官の増員、放射線防護車等の整備拡充、警察及び自衛隊によるテロ対策共同訓練の実施等、関係機関が連携してテロ対策に取り組んでいるところである。なお、関西電力の大飯発電所を含む各原子力発電所においては、本件事故の教訓を踏まえ、電源や冷却機能の多重化等の事故対策を講じており、こうした対策もテロ対策に資するものと認識している。
 また、お尋ねの「原発周辺の住民避難・保護の考え方」については、関係地方自治体において、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)に基づき国民の保護に関する計画を、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づき地域防災計画を、それぞれ作成しており、これらの計画に沿って、大飯発電所周辺の住民の避難及び保護が行われるものと考えている。

六について

 防衛省は、「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」(平成十八年国土交通省告示第百八十四号)を踏まえ、自衛隊施設の耐震性を確保することに努めることとしており、現在、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊及び施設等機関等のいずれについても階数が三以上、かつ、床面積の合計が千平方メートル以上の庁舎、隊舎及び病院について、現時点でその具体的な見通しは明らかにできないが、耐震化対策を鋭意進めているところである。