質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三五号

内閣参質一八〇第一三五号
  平成二十四年六月十五日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員糸数慶子君提出森本敏防衛大臣の沖縄の基地問題等への見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出森本敏防衛大臣の沖縄の基地問題等への見解に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 沖縄県に駐留する米国軍隊を含め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)は、その抑止力を通じて我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与している。他方、在日米軍の施設及び区域が同県内に集中している現状は、同県民にとって、大きな負担となっているものと認識している。政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、これまでの日米合意を踏まえ、普天間飛行場の移設、在沖縄米海兵隊の移転、嘉手納飛行場以南の施設及び区域の返還、同飛行場からの航空機訓練の移転などに引き続き全力を挙げて取り組んでいく考えである。

三について

 普天間飛行場については、固定化は避けなければならないと考えており、平成二十四年四月二十七日付けの日米安全保障協議委員会の共同発表(以下単に「共同発表」という。)において、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが計画されている同飛行場の代替施設が、引き続き、これまでに特定された唯一の有効な解決策であるとの認識が再確認されたところである。沖縄において様々な意見があることは承知しているが、こうした考え方を引き続き沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めていくとともに、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく全力で取り組む考えである。

四について

 普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書(以下「評価書」という。)については、現在、防衛省において、沖縄県知事から述べられた意見を踏まえ、科学的観点、専門的観点からの検討を加え、その補正のための作業を行っているところであり、補正を行った評価書の送付の時期、その後の手続である公有水面の埋立ての申請の時期については申し上げられる段階にない。いずれにせよ、普天間飛行場の移設については、危険性の除去の観点等から早期に実現させることが必要であると認識しており、沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組む考えである。

五について

 普天間飛行場は、人口約九万四千人の沖縄県宜野湾市に所在し、同市の面積の約二十四パーセントを占めるとともに、同市の中央部で住宅や学校等に密接して位置しており、その危険性を一刻も早く除去することが必要であると考えており、これまでも、同飛行場の危険性除去のため、平成十九年八月十日に日米合同委員会において承認された普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書に盛り込まれた「飛行経路に係る安全の向上」、「クリヤー・ゾーンの拡充」等の施策を実施してきたところである。いずれにせよ、同飛行場の移設については、危険性の除去の観点等から早期に実現させることが必要であると認識しており、沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組む考えである。

六について

 垂直離着陸機MV二二オスプレイについては、開発・試験段階において発生した事故を教訓として改良が重ねられた結果、必要な安全基準を満たすものとして、米国政府からその量産が承認され、現在、米海兵隊の主力輸送機として配備が進められているものと承知しており、平成二十四年の後半から、普天間飛行場に配備されている回転翼機CH四六から換装されるものと承知している。

七について

 御指摘の普天間飛行場の嘉手納飛行場への統合案については、これまで何度も日米両政府間で検討された結果、合意に至らなかったものであり、普天間飛行場については、共同発表において、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが計画されている同飛行場の代替施設が、引き続き、これまでに特定された唯一の有効な解決策であるとの認識が再確認されたところである。

八について

 お尋ねの「嘉手納基地以南の五施設・区域の返還」に係るスケジュールについては、現在も日米両政府間で協議中であり、現時点で確たることを申し上げることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、返還後の跡地の有効かつ適切な利用に資するため、共同発表により平成二十四年末までに作成することとされている沖縄に残る施設及び区域に関する統合計画において、移設に係る措置の順序等を具体的に記述できるよう努めていく考えである。

九について

 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、在沖縄米海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。

十について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)については、今後とも、日米同盟を更に深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場の移設問題や在沖縄米海兵隊の移転など他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、その対応について検討する考えである。政府としては、まずは、米軍関係者による事件・事故の防止、米軍機による騒音の軽減、在日米軍の施設及び区域における環境問題等の具体的な問題について、地元の方々の御要望を踏まえつつ、最大限の努力を行っていく考えである。

十一について

 平成二十四年六月十一日現在、沖縄県内における在日米軍の施設及び区域のうち、自衛隊が在日米軍と共同使用しているのは、八重岳通信所、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫地区、ホワイト・ビーチ地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設及び出砂島射爆撃場である。
 共同発表において、自衛隊と米軍との間の共同訓練や施設の共同使用を含む二国間の動的防衛協力が抑止力を強化するなどとされており、こうした日米防衛協力の拡大について、地元の負担軽減も考慮しながら、幅広く検討していきたいと考えている。