質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三〇号

内閣参質一八〇第一三〇号
  平成二十四年六月八日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員平山誠君提出大飯原子力発電所三、四号機の再稼働に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平山誠君提出大飯原子力発電所三、四号機の再稼働に関する質問に対する答弁書

一、二及び六について

 関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)の大飯発電所第三号機及び第四号機(以下「大飯三・四号機」という。)の運転再開については、安全上重要な施設・機器等が設計上の想定を超える事象に対し、どの程度の安全裕度を有するのかという点について、欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続やルールに基づく安全評価を関西電力が行い、その評価結果について経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)が確認し、更にその確認の妥当性を内閣府原子力安全委員会が確認した上で、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣(以下「四大臣」という。)において、平成二十四年四月六日に「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」(以下「判断基準」という。)を取りまとめ、これに基づき、同月十三日に、地震・津波による全電源喪失という事象の進展を防止するための安全対策が既に講じられていることや、関西電力が更なる安全性・信頼性向上のための実施計画を明らかにしていること等について確認するとともに、電力需給の見通しや燃料費の増加の影響も含めて検証し、総合的に運転再開の必要性について判断したところである。判断基準については、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(以下「事故調査委員会」という。)や保安院による各種の意見聴取会等における有識者や専門家等の第三者による調査・検討の結果、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故の原因について、津波により、非常用ディーゼル発電機等の設備が使用不可能になり全交流電源喪失の状況となったことが、その後の事象進展の直接的な原因であり、地震の影響については、安全上重要な設備・機器がその安全機能を保持できる状態にあったと推定されるとの基本的理解が得られていることを踏まえ、平成二十三年三月に原子力事業者に指示した緊急安全対策、同年十月から検討を開始し平成二十四年三月に取りまとめた今後の規制に反映すべきと考えられる三十項目の安全対策等、この一年間に政府として積み重ねてきた対策や知見を整理し、四大臣において取りまとめたものである。このように、判断基準は、現時点で得られる最大限の知見に基づいたものであるが、今後、事故調査委員会等により、新たな知見が得られれば、その都度、原子力発電所の安全対策に反映するなど、原子力安全に万全を期すこととしている。これらについては、関係地方自治体等に対して丁寧に説明を行い、住民の理解や国民の信頼を得ることに全力を挙げているところであり、今後、住民の理解や国民の信頼が得られているかという点も踏まえ、四大臣が運転再開の可否を総合的に判断していくこととしているが、立地自治体である福井県及び同県大飯郡おおい町の判断を得つつ、原子力発電所に関する四大臣会合で議論をし、最終的に判断を行ってまいりたい。

三について

 御指摘の枝野経済産業大臣の発言は、原子力安全規制及び電力の安定供給等に係る施策について国が一元的な責任を有していることに鑑み、大飯三・四号機の運転の再開の可否について、政府が最終的に判断を行うという趣旨である。

四及び五について

 お尋ねの「責任」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)においては、原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものである場合を除き、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めを負うこととされている。また、原子力損害賠償支援機構法(平成二十三年法律第九十四号)においては、国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、原子力損害賠償支援機構を通じて、原子力損害の賠償が適切かつ迅速に実施されるよう、万全の措置を講ずるものとされている。