質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二〇号

内閣参質一八〇第一二〇号
  平成二十四年五月二十九日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員佐藤正久君提出シリアの治安情勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出シリアの治安情勢に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国は国際社会と連携しながらシリア・アラブ共和国(以下「シリア」という。)政府に対して暴力の行使を即時停止するよう働きかけを行ってきたところである。しかしながら、シリアにおいて十四か月以上にわたり弾圧と暴力が続き、多数の死傷者や難民が発生していることは極めて遺憾であり、バッシャール・アサド大統領が適切に国を統治することは困難であると考えていることから、平成二十三年八月十九日に「道を譲るべきものと考えます。」との外務大臣談話を公表したところである。

二について

 在シリア日本国大使館は、ダマスカスを含め、シリア国内の治安状況が悪化していることから、同大使館事務所を一時閉館し、在ヨルダン日本国大使館内の臨時事務所において、その業務を継続している。

三について

 シリアにおいては、十四か月以上にわたり弾圧と暴力が続いており、連日各地において多数の死傷者が発生している。我が国は、こうした状況に鑑み、平成二十三年四月以来、シリア全土について「退避を勧告します。渡航は延期してください。」との危険情報を発出している。

四及び六から九までについて

 御指摘の「アフガニスタンにおけるタリバンの戦闘行為」の意味が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「内戦」及び「内乱」については、国際法上その具体的な意味について、確立された定義があるとは承知しておらず、現在のアフガニスタン及びシリアの状況がこれに該当するかどうか等について判断することは困難である。
 国家とは、国際法上、一般に、一定の領域においてその領域に在る住民を統治するための実効的政治権力を確立している主体とされているが、「国家に準ずる組織」については、国際法上その具体的な意味について、確立された定義があるとは承知していない。他方、従来から、政府としては、お尋ねの「国家に準ずる組織」について、国家そのものではないがこれに準ずるものとして国際紛争の主体たり得るものとして用いてきている。
 いかなる主体がこれに該当するかについては、こうした考え方に基づいて個別具体的に判断することとなり、現時点における「タリバーン」及び「アル・カーイダ」については、政府として判断しておらず、また、「シリア国民評議会」については、該当するとは認識していない。

五について

 国際連合兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という。)については、UNDOFの活動地域において、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)第三条第一号に規定する武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意としてイスラエル国及びシリア間の合意があり、かつ、同号に規定する国際連合の統括の下に行われる活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者であるイスラエル国及びシリアの当該活動が行われることについての同意並びに同法第六条第一項第一号に規定する紛争当事者及び当該活動が行われる地域の属する国であるイスラエル国及びシリアの我が国の国際平和協力業務の実施についての同意は得られている。また、当該活動は、イスラエル国及びシリアのいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されている。
 同条第十三項第一号に掲げる場合には、同法第八条第一項の規定により定めた実施要領に従って当該業務を中断することとなり、さらに、派遣の終了が必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、同法第六条第十三項に規定する実施計画の変更を閣議により決定し、我が国の要員の派遣を終了することとなる。
 我が国の要員の武器の使用については、同法第二十四条等に定めるところによる。
 以上を踏まえ、政府としては、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則は満たされていると考えている。