質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第九二号

内閣参質一八〇第九二号
  平成二十四年五月八日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問に対する答弁書

一について

 総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題ワーキンググループは、平成五年十一月二十九日(第一回)から平成六年四月六日(第七回)まで計七回開催された記録が残っているが、御指摘の職員がそのワーキンググループに出席したとの記録は残っていない。御指摘の平成十六年三月十七日の国会答弁に関しては、経済産業省において事実関係の調査(以下「当該調査」という。)が行われたが、答弁の作成時に御指摘の職員が御指摘の再処理コストが直接処分コストより高くなるとの試算結果(以下「コスト試算」という。)の存在を知っていたとの事実は、当該調査においても確認できなかったと結論付けている。

二について

 当該調査においては、公表しないことを前提に調査対象者への聴取を行っており、個別具体的な内容を明らかにした場合、今後、職員に対する同様の調査の実施に影響を及ぼすおそれがあることからお答えすることは差し控えたい。
 なお、経済産業省としては、コスト試算に関する関係資料について平成十六年七月五日に公表するとともに、同年八月五日、関係資料の存在を承知しつつも、事実と異なる答弁がなされたことについて事後において十分対応しなかった職員に対して処分を行っている。

三の1及び2について

 御指摘の平成二十四年二月七日の参議院予算委員会における枝野経済産業大臣の答弁を踏まえ、経済産業省では、当該調査が適切に行われていたのかどうか、当該調査の実施に当たった当時の担当者に確認を行っている。その結果、当該調査は適切に実施されたものであることが確認され、公表が必要となるような新たな事実は確認されなかった。

三の3から5までについて

 平成十六年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会においては、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定)における「使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とする」との方針や、「エネルギー基本計画」(平成十五年十月七日閣議決定)における「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としており、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことが基本となる」との方針を前提に、バックエンド事業に関する制度及び措置の在り方について検討を行ったものであり、使用済燃料を再処理しない場合のコスト等は検討の対象ではなかったものと承知している。
 現行の核燃料サイクル政策については、「原子力政策大綱」(平成十七年十月十一日原子力委員会決定)の策定過程において、原子力委員会新計画策定会議の委員から、使用済燃料の取扱いに関して直接処分と再処理との比較分析が必要である等の意見があったことを踏まえ、使用済燃料の取扱いに関して直接処分の場合を含む四つのシナリオを定め、それぞれについて、安全性、技術的成立性、経済性、エネルギー安定供給、環境適合性、核不拡散性、海外の動向、政策変更に伴う課題、社会的受容性及び選択肢の確保の十項目の視点から評価した結果、決定したものである。
 なお、今後の核燃料サイクル政策については、原子力政策の見直しを議論していく中で、しっかりと議論を行っていくこととしており、「「革新的エネルギー・環境戦略」策定に向けた中間的な整理」(平成二十三年七月二十九日エネルギー・環境会議決定)を踏まえ、エネルギー・環境会議の下に設置されたコスト等検証委員会において、直接処分の場合を含む核燃料サイクルコスト試算を行ったところであり、現在、原子力委員会において、核燃料サイクルの選択肢の提示に向けた議論を行っているところである。