質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第七八号

内閣参質一八〇第七八号
  平成二十四年四月十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員川田龍平君提出放射性物質の拡散防止対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出放射性物質の拡散防止対策に関する質問に対する答弁書

一、三及び四ついて

 お尋ねの東日本大震災により生じた災害廃棄物については、できる限り被災地で処理を行うこととしており、岩手県及び宮城県において仮設焼却炉等の整備が進められているが、それでもなお処理能力が不足しており、被災地の復興のためには一刻も早く災害廃棄物を処理する必要があることから、政府として災害廃棄物の広域的な処理を推進している。
 災害廃棄物の広域的な処理については、「災害廃棄物の広域処理の推進について(東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン)」(平成二十三年八月十一日環境省作成)等に基づき、災害廃棄物の搬出側の地方公共団体において、災害廃棄物の種類ごとに放射能濃度を測定し、可燃物である災害廃棄物については、受入側の地方公共団体(以下「受入団体」という。)における焼却炉の型式に応じて一キログラム当たり二百四十ベクレル以下又は四百八十ベクレル以下であることを確認することとしており、受入団体において廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)に基づく一般廃棄物の一般的な処理方法により処理することが可能な一般廃棄物を対象としている。
 これを前提として、受入団体においては、当該受入団体において発生した一般廃棄物と被災地から受け入れた災害廃棄物とを混合して、一般廃棄物の一般的な処理方法により焼却しているものと承知しており、御指摘の「一般ごみとの混合による焼却」は、国際原子力機関(IAEA)が平成十六年八月に出版した「規制除外、規制免除及びクリアランスの概念の適用」(以下「IAEA指針」という。)に記述がある「希釈」には当たらず、また、受入団体における焼却方法が、「前記答弁書におけるIAEAの見解と明らかに矛盾する」との御指摘及び「域外での被災地瓦礫の処理」が「前記答弁書にあるIAEAの見解を超越」するとの御指摘は当たらないものと考えている。

二について

 政府としては、お尋ねの理由については、IAEA指針に記述がなく、承知していない。

五について

 お尋ねの「先の野田総理の「より安全性の立証ができるようにする」との発言」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、一、三及び四についてで述べたとおり、広域的な処理の対象とする可燃物である災害廃棄物については、一般廃棄物の一般的な処理方法により処理することが可能な一般廃棄物を対象としており、環境省においては、災害廃棄物の広域的な処理の安全性についての国民の理解を深めるため、受入団体に対して、七日に一回程度、災害廃棄物を焼却する焼却施設の敷地の境界における空中放射線量の測定等の実施及びその結果の公表を求めているところであり、受入団体においては、これらを実施しているものと承知している。

六について

 お尋ねの薪の出荷については、林野庁において、平成二十三年十一月二日に調理加熱用の薪に関する放射性セシウム濃度の当面の指標値として、一キログラム当たり四十ベクレル以下という基準を定めた通知(以下「十一月二日通知」という。)を発出し、都道府県を通じて、薪の生産者等に対して、当該当面の指標値を超える薪の販売等の自粛と販売等の相手方に対する放射性セシウム濃度を含む薪の生産状況等に関する情報提供を指導し、また、同月十八日に薪の放射性セシウム濃度の検査方法を定めた通知(以下「十一月十八日通知」という。)を発出し、都道府県を通じて、薪の生産者等に対して、薪のロットごとの検査結果の同庁に対する速やかな報告を指導したところである。その後、同年十二月二十二日に、十一月二日通知及び十一月十八日通知による薪の販売等に関する指導についての問合せへの回答として、放射性セシウム濃度が当該当面の指標値を超える薪及び超えない薪を結束又はこん包して組み合わせた薪(以下「組み合わせた薪」という。)については、ロットごとに薪の放射性セシウム濃度及び重量を管理し、十一月十八日通知によるロットごとの検査に加え、組み合わせた薪について再度、検査を行い、放射性セシウム濃度が当該当面の指標値以下となることが確認できる場合には、組み合わせた薪が生産された都道府県内に限り流通させることは構わない趣旨であることを示したところである。同庁においては、組み合わせた薪についても十一月二日通知及び十一月十八日通知により、販売等の相手方に対する放射性セシウム濃度を含む薪の生産状況等に関する情報提供と検査結果の同庁に対する速やかな報告を指導するとともに、組み合わせた薪の販売等に関する指導の趣旨をあらかじめ示すことにより、薪の販売等に関し薪の生産者等に対する指導を行っており、「前記答弁書にあるIAEAの見解に逆行する」ものではないと考えている。今後とも、放射性セシウム濃度を含む薪の適切な管理についての指導に努めてまいりたい。