質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質一八〇第三一号
  平成二十四年二月二十四日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員若林健太君提出年金交付国債に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員若林健太君提出年金交付国債に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十四年度の年金特別会計国民年金勘定及び厚生年金勘定(以下「両勘定」という。)の歳入予算においては、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第百十五条第三項及び第百十六条第四項の規定により両勘定から同特別会計基礎年金勘定への繰入金の財源に充てるため、同年度における基礎年金の給付に要する費用等の二分の一に相当する額と三分の一に千分の三十二を加えた率を乗じて得た額との差額に相当する額(以下「差額相当額」という。)の積立金からの受入見込額を計上しているが、これは、同年度の基礎年金の給付に支障を生じさせないために必要な処理であると考えている。また、平成二十四年二月十日に国会に提出した国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案による改正後の国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「改正法案による改正後の平成十六年改正法」という。)附則第十四条の四第二項及び第三十二条の四第二項の規定により当該差額相当額を国庫の負担とするために発行され、年金積立金管理運用独立行政法人(以下「管理運用法人」という。)に交付される国債(以下「年金交付国債」という。)については、厚生労働大臣が両勘定の積立金として管理運用法人に寄託したものとみなされることから、これにより両勘定の積立金の水準が低下するものではないと考えている。加えて、当該年金交付国債については、平成二十三年十二月二十二日に財務大臣と厚生労働大臣との間で合意した「平成二十四年度以降の基礎年金国庫負担の取扱い等について」(以下「大臣合意」という。)において「償還は、税制抜本改革の実施後において、毎年度、予め定める一定額を限り行うことができる」とし、また、「社会保障・税一体改革大綱」(平成二十四年二月十七日閣議決定。以下「大綱」という。)において「償還は、消費税引上げ後に消費税収により行う。」としており、償還の財源やスケジュールをあらかじめ明確化した上で発行し交付することを検討していることから、このような年金交付国債の発行、交付等による一連の処理は、財政規律を損なうものではなく、また、将来にわたる年金財政の安定を損なうものではないと考えている。

二について

 平成二十五年度から税制抜本改革により安定財源の確保が図られる年度(以下「特定年度」という。)の前年度までの各年度における差額相当額の取扱いについては、改正法案による改正後の平成十六年改正法附則第十六条の二第一項及び第三十二条の五第一項において「必要な税制上の措置を講じた上で国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとする。」とされており、今後具体案を検討していくものであることから、お尋ねにお答えすることは困難である。
 なお、大綱においては、平成二十六年四月一日に消費税の税率を地方消費税と合わせて八パーセントに引き上げることとしており、これを踏まえ、平成二十六年度を特定年度と定めることを検討していることから、平成二十五年度から特定年度の前年度までの期間は、長期間とはならないものと考えている。

三について

 財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第十二条の規定は、特定の年度における収入支出は他の年度の収入支出と区分すべきという原則を定めているものと認識している。
 その上で、年金交付国債の発行、交付等による一連の処理については、平成二十四年度の両勘定の歳入予算において同年度の差額相当額の積立金からの受入見込額を計上し、これを当該両勘定の歳出予算に計上する同年度の年金特別会計基礎年金勘定への繰入金の財源に充てることとしており、財政法第十二条の規定に照らして問題はないものと考えている。
 なお、当該年金交付国債の償還については、大綱において「消費税引上げ後に消費税収により行う。」としており、特定年度以後の各年度において、当該年度の消費税収をその財源に充てることを検討している。

四について

 年金交付国債の償還については、大臣合意において「税制抜本改革の実施後において、毎年度、予め定める一定額を限り行うことができる」とし、また、大綱において「消費税引上げ後に消費税収により行う。」としており、当該償還の請求は、特定年度以後の各年度において、一定額を限り行うことができるものとすることを検討している。