質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一八〇第二一号
  平成二十四年二月二十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員糸数慶子君提出「密約」問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出「密約」問題に関する質問に対する答弁書

一について

 いわゆる「密約」問題については、この問題により、外交に対する国民の理解と信頼が失われているとの観点から、過去の事実を徹底的に明らかにするため、岡田克也外務大臣(当時)が外務大臣就任時に徹底した調査(以下「外務省調査」という。)を命じ、その結果を平成二十二年三月に公表したところである。御指摘の「沖縄返還当時」の状況については、簡単に判断できるものではなく、同月に公表された「いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書」においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益・国益に照らして判断すべきものである旨述べられている。政府としては、御指摘の西山太吉氏に対し、御指摘のような措置をとることは考えていないが、この問題が、長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。御指摘の岡田克也国務大臣の答弁は、御指摘の西山太吉氏のその間の御努力や御苦労に対し、「本当に申し訳ない」との個人の真情を述べたものである。

二について

 政府としては、一についてで述べた調査等を通じて、いわゆる「密約」問題に関する事実関係の解明が進展したと考えている。御指摘のように、「いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書」では、四百万ドルの土地の原状回復補償費について「広義の密約」があったとの見解が示されているが、他方で、外務省調査の報告書は、「原状回復補償費四百万ドルを日本側が肩代わりすることを内容とする非公表の文書(「議論の要約」)」は発見されず、作成されたかどうかも確認できなかったとしている。この問題についての歴史的評価については、今後、定まってくるものと考える。