質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一八〇第一八号
  平成二十四年二月十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員森まさこ君提出汚染コンクリート問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出汚染コンクリート問題に関する質問に対する答弁書

一について

 東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故が発生した当初において、国が福島県内において使用することが可能な空間線量率等を測定する機器等の数が限られていた状況の下で、住民の安全等の確保を最優先する観点から、高線量を示す地域の広がりを可能な限り速やかに把握するため、平成二十三年三月十五日から十六日までの間、福島第一原子力発電所から半径約二十キロメートルから約六十キロメートルまでの範囲内の各地点において、空間線量率の測定を取り急ぎ行い、その結果を踏まえ、追加的な放射線防護対策の参考に資する観点から、空間線量率の測定を継続的に行う地点を改めて選定したものであり、特定の地点において、継続的に測定を行わなかったことが不適切であるとは考えていない。

二について

 平成二十三年三月十六日当時、福島第一原子力発電所から半径二十キロメートル圏内の住民に対し退避指示が出され、半径二十キロメートル以上三十キロメートル圏内の住民に対し屋内退避指示が出されている中、これらの圏内で操業を続けている採石場があるとの考えには至らなかったものである。

三について

 政府においては、「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」(平成二十三年五月十二日原子力災害対策本部策定)等において、脱水汚泥等を含むセメント等に係る放射能濃度の基準等を示しているが、その他の建設資材については、脱水汚泥等のように放射性物質が追加的に混入する経路が、避難が進められていた当時見当たらなかったことから、そのような基準を策定するに至らなかったものである。なお、砕石は、岩石を地表の部分だけでなく地中の部分も含めて砕いて採取されることから、砕石に放射性物質が大量に付着しているとは考えにくいため、放射性物質により汚染された採石の出荷及び流通の可能性について、予見することはできなかったものである。

四について

 お尋ねについては、本事案を受けて原子力災害対策本部において、当面の対応を取りまとめ、関係府省に対して同様の事案が起きるおそれがないか注意喚起を行っているところであり、また、砕石の出荷基準について、専門家による検討会を開催し、学識経験者等の意見を聴きつつ、平成二十三年度末までの策定を目指すこととしている。