質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一八〇第一一号
  平成二十四年二月十日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出使用済み核燃料の直接処分に関するコスト計算隠蔽問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出使用済み核燃料の直接処分に関するコスト計算隠蔽問題に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 御指摘の国会答弁については、経済産業省において、事実関係の調査(以下「当該調査」という。)を実施し、その結果に基づいて関係者の処分を行っている。当該調査の結果については、報告書として取りまとめてはいないが、平成十六年八月五日に、当時の中川経済産業大臣及び同省職員が記者会見においてその内容を説明している。

一の3及び二の1について

 当該調査においては、公表しないことを前提に調査対象者への聴取を行っており、その氏名及び肩書並びに聴取した個別具体的な内容については、これを明らかにした場合、今後、職員に対する同様の調査の実施に影響を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたいが、当該調査においては、答弁作成時に御指摘の職員が「直接処分コスト試算」の存在を知っていたという事実は確認できなかったと結論付けている。

二の2から4まで並びに三の1及び2について

 当該調査においては、御指摘の報道にあるような事実は確認されていない。
 なお、平成十六年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会においては、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定)における「使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とする」との方針や、「エネルギー基本計画」(平成十五年十月七日閣議決定)における「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としており、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことが基本となる」との方針を前提に、バックエンド事業に関する制度及び措置の在り方について検討を行ったものであり、使用済燃料を再処理しない場合のコストを含めた「あらゆる選択肢を示す」ことは検討の対象ではなかったものと承知している。

三の3について

 現行の核燃料サイクル政策については、「原子力政策大綱」(平成十七年十月十一日原子力委員会決定)の策定過程において、使用済燃料の取扱いに関して直接処分の場合を含む四つのシナリオを定め、それぞれについて、安全性、技術的成立性、経済性、エネルギー安定供給、環境適合性、核不拡散性、海外の動向、政策変更に伴う課題、社会的受容性、選択肢の確保の十項目の視点から評価した結果、決定したものである。
 今後の核燃料サイクル政策については、原子力政策の見直しを議論していく中で、しっかりと議論を行っていくこととしており、「「革新的エネルギー・環境戦略」策定に向けた中間的な整理」(平成二十三年七月二十九日エネルギー・環境会議決定)を踏まえ、エネルギー・環境会議の下に設置されたコスト等検証委員会において、直接処分の場合を含む核燃料サイクルコスト試算を行ったところであり、現在、原子力委員会において、核燃料サイクルの選択肢の提示に向けた議論を行っているところである。

三の4について

 御指摘の職員については、枝野経済産業大臣の下、適切に職務を遂行しており、御指摘は当たらないと考える。