質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一八〇第三号
  平成二十四年二月三日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員渡辺猛之君提出衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員渡辺猛之君提出衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関する質問に対する答弁書

一について

 市町村(特別区を含む。以下同じ。)のうち、複数の衆議院小選挙区選出議員の選挙区(以下単に「選挙区」という。)によりその区域(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあっては、その区の区域)が分割されているものの数は、平成二十四年一月三十日現在、九十四である。

二について

 一についてでお答えした市町村のうち、平成十一年四月一日以降に行われた市町村合併に伴い、複数の選挙区によりその区域(当該市町村合併の後に指定都市となったものにあっては、その区の区域)が分割されることとなったものの数は、八十三である。

三について

 衆議院議員選挙区画定審議会(以下「審議会」という。)が選挙区の改定案を作成するに当たっては、衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成六年法律第三号。以下「設置法」という。)第三条第一項の規定により、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないこととされており、合併した市町村の区域(指定都市にあっては、その区の区域)が全て一の選挙区に属することが当然に求められているものではないことから、市町村合併があったことをもって直ちに選挙区の見直しが必要とされているものではないと考えている。

四について

 お尋ねについては、審議会において、設置法の趣旨及び平成十七年国勢調査の速報値に基づく各選挙区の状況、市町村合併の進展状況等を総合的に判断した結果、設置法第四条第二項に定める「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」が生じているとは認められないと判断したためと承知している。

五について

 御指摘の「平成十七年の国勢調査の結果公表に伴う見直しの必要性の検討の後、平成二十二年の国勢調査による速報人口が公表されるまでの間」においては、審議会は、住民基本台帳人口等の公表に基づく選挙区別の人口や市町村合併の状況等を議題として十回開催された。
 また、お尋ねの「同期間に衆議院小選挙区の見直しを行わないこととした理由」については、審議会において、設置法第四条第二項に定める「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」が生じているとは認められないと判断したためと承知している。

六の1について

 お尋ねについては、審議会において、設置法第四条第二項に定める「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」が生じているとは認められないと判断したものと承知している。

六の2について

 お尋ねの「重要な要素に根本的な変更が生じ」とは、設置法第四条第二項に定める「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」が生じているか否かを判断するに当たって考慮される事柄であり、その具体的内容について一概にお答えすることは困難である。

七について

 最高裁判所平成二十三年三月二十三日判決(以下「最高裁判決」という。)は、平成二十一年に執行された衆議院議員総選挙について、「本件選挙時において、本件区割基準規定の定める本件区割基準のうち一人別枠方式に係る部分は、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っており、同基準に従って改定された本件区割規定の定める本件選挙区割りも、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていたもの」と述べており、審議会において、最高裁判決を踏まえ、いわゆる「一人別枠方式」を定めた設置法第三条第二項に定める選挙区の改定案の作成の基準をそのまま適用して選挙区の改定に関する調査審議を行うことは適当でないと判断したためと承知している。

八及び九について

 最高裁判決を受け、現在、各党各会派において、設置法の改正を含め衆議院議員の選挙制度の在り方について協議が行われているものと承知しており、お尋ねについて現時点でお答えすることは差し控えたい。