質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二四五号

公債特例法案の成立の遅れに伴う予算執行抑制の妥当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年九月四日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   公債特例法案の成立の遅れに伴う予算執行抑制の妥当性に関する質問主意書

 与党民主党は、八月二十八日、衆議院本会議で公債特例法案の強行採決を行った。本法案は、もともと民主党政権による水ぶくれ予算の縮減を全く行わず、そのまま特例公債の上限を規定したのみならず、当初、「国債発行の上限逃れ」とされ、我が党をはじめ多くの野党から批判された年金交付国債を撤回したものの、結局、年金交付国債相当分を特例公債に上積みする内容となっており、当然、認められないものである。そのため我が党は衆議院の財務金融委員会及び本会議において反対した。
 一方、八月三十一日、財務大臣は、「九月以降の一般会計予算の執行について(素案)」を示し、公債特例法案の成立が見込めないことを理由に、地方交付税交付金を始めとして、独立行政法人、国立大学法人及び民間等向け支出の執行を留保するとともに、国会、裁判所及び会計検査院に対しても予算執行の留保を要請するとしている。
 しかし、そもそも、平成二十四年度の一般会計予算総則において政府の資金繰りのため、政府短期証券(財務省証券)の発行が二十兆円を上限に認められているにもかかわらず、本年七月末時点のその発行残高は七千億円に過ぎない。また、本年八月二十日から二十七日までの直近三回における国庫短期証券募入平均利回りは〇・一パーセント以下と、昨年度平均をむしろ下回る安定した金利水準となっており、財務省証券の発行を増加しても金利暴騰の可能性は少ないと考えられる。
 よって、財務大臣により示された予算執行の抑制方針は、民主党政権の失政のツケを地方や国民に回そうとする根拠の薄い愚行と断ぜざるをえない。
 そこで、以下、質問する。

一 政府は九月からの予算執行抑制をあくまでも実施する方針か。実施する方針である場合、国民に分かるように執行が抑制される見込みの予算の項及びその金額について、詳細に明らかにされたい。

二 平成二十四年度財務省証券の八月末現在の発行残高はどうなっているのか。もし、公債特例法案が成立しなかった場合、九月末、十月末、十一月末の発行残高及び募入平均利回りはどのように推移すると見込んでいるのか。

三 平成元年以降の各年度の一般会計予算総則における財務省(大蔵省)証券の発行最高額及び実際の発行残高の最高額は、それぞれいくらか明らかにされたい。さらに、公債特例法案が成立せず、償還財源が確保できていない状況で同証券の追加発行は不可能となるのか。追加発行ができないのなら、その根拠を関係条文を明示の上、明らかにされたい。一方、追加発行ができる場合、過去に追加発行した事例の有無を明らかにされたい。

四 年金交付国債を発行しないこととし、公債特例法案等を内閣修正した以上、当初予算とは内容が大きく異なることから、内閣として早期に補正予算を編成し、国会に提出すべきではなかったのか。補正予算を提出しなくても財政法上問題とならないという根拠を関係条文を明示の上、明らかにされたい。また、そもそも、九十兆円を上回る水ぶくれした平成二十四年度予算について、減額する補正予算の編成を野田内閣として検討していないのか。補正予算を検討している場合にはその見通しを、検討していない場合にはその理由を明らかにされたい。

  右質問する。