質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二三三号

香港民間団体による尖閣諸島上陸事件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月二十一日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   香港民間団体による尖閣諸島上陸事件に関する質問主意書

 平成二十四年八月十五日、香港の民間団体である「保釣行動委員会」の船が我が国領海に侵入し、乗組員の一部が、尖閣諸島の魚釣島に上陸した。沖縄県警等がこれら上陸者等を出入国管理及び難民認定法第三条等の違反容疑で現行犯逮捕したが、同法第六十五条の適用により、これら被疑者に対して強制送還の措置がとられた。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 同法第六十五条では、他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、刑事訴訟法の規定にかかわらず、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができるとされているが、同十六日に開催された自由民主党外交部会・領土に関する特命委員会合同会議における海上保安庁の説明によれば、海上保安庁巡視船に対し、れんが等が投げつけられたとされている。この行為は、法に則って公務を執行しようとする海上保安官に対する公務執行妨害であると認識しているが、今回何故、公務執行妨害罪が適用されなかったのか。政府の見解如何。
 また、当該船から、れんが等が投げつけられたこと自体が、明らかに海上保安官の公務執行を妨害する行為であると認識している。今回は、海上保安官に人的被害はなく、巡視船船体にも大きな損傷がなかったとされているが、公務執行妨害罪の適用は、我が方の被害の有無、大小によって、判断されるべきではないと考えるが、政府の見解如何。

二 同法第六十五条は、我が国における就労を目的とした不法入国や不法残留等を対象とした特例措置と認識しているが、今回の事案のように、我が国領域に政治的意図をもって侵入した者に対して適用されたことは、法の趣旨に合致しないものと考えるが、政府の見解如何。

三 平成二十二年九月七日に発生した、所謂「尖閣諸島中国漁船衝突事件」において、当該漁船船長を公務執行妨害容疑で逮捕し、那覇地方検察庁に送検しながら、「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮」との理由をもって同地検が処分保留で釈放した。
 当該事件において、我が国が尖閣諸島及び同海域における司法権を厳正に執行しなかったことが、今回の香港の民間団体乗組員による上陸事件を誘発したと認識しているが、政府の見解如何。

  右質問する。