質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二二〇号

死亡診断書の交付に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月九日

古川 俊治   


       参議院議長 平田 健二 殿



   死亡診断書の交付に関する質問主意書

 死亡診断書の交付については、医師法第二十条において、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」と定められている。
 本条の立法趣旨については、「診療をしないで交付する場合をなるべく制限しようとする趣旨である」とされており、したがって、「たとえ診療中の患者であってもその者の死亡時が、最後の受診時から起算して二十四時間を超える場合には、改めて診察をしなければ死亡診断書を交付することはできないこととされた。」とされている(厚生省健康政策局総務課「医療法・医師法(歯科医師法)解」第十六版四百三十二ページ)。
 これに関し、昭和二十四年四月十四日付け厚生省医務局長通知「医師法第二十条但書に関する件」(医発第三八五号)は、「死亡診断書は、診療中の患者が死亡した場合に交付されるものであるから、苟しくもその者が診療中の患者であった場合は、死亡の際に立ち会っていなかった場合でもこれを交付することができる。但し、この場合においては法第二十条の本文の規定により、原則として死亡後改めて診察をしなければならない。」としており、また、平成二十四年七月二十五日の参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会において、辻泰弘厚生労働副大臣は、「診療中の患者が診療に係る疾病で死亡した場合には、医師が死亡の際に立ち会っておらず診察後二十四時間以上経過していた場合であっても、改めて診察を行うことにより死亡診断書を発行することができる」と答弁し、今まで診察をしていた疾患で死亡した患者であり、死亡の場で診察が出来なかった患者について、「二十四時間以内に診察をしていなければ死亡診断書が書けない」という解釈は誤りだと述べている。
 そこで、死亡診断書の交付について、以下のとおり質問する。

一 前記昭和二十四年四月十四日付け厚生省医務局長通知は「原則として」としているが、具体的にどのような例外が認められるのか。

二 平成九年十二月二十四日付け厚生省健康政策局長通知(健政発第一〇七五号)は、「医師法第二十条等における「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう。」としている。
 既に死亡が確認された後の身体の「診察」とは、どのようなものか。また、死後の身体の「診察」を行った医師は、当該「診察」について公的医療保険の診療報酬の請求は可能か、政府の見解を示されたい。

  右質問する。