質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二一〇号

慰安婦問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月二日

山谷 えり子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   慰安婦問題に関する質問主意書

 慰安婦問題については、平成二十二年十月に米国ニュージャージー州パリセイズパーク市の公共図書館に慰安婦記念碑が建立され、平成二十三年十二月にはソウルの日本大使館前に平和の碑・少女像が建てられた。また、平成二十四年五月にはソウルの「戦争と女性の人権博物館」内に慰安婦問題に関する記述が展示された。さらに、同年六月には、米国ナッソー郡アイゼンハワー公園に慰安婦記念碑が建てられるなど、相次いでいる。
 これまで日本政府は、委員会での答弁及び各議員から提出された質問主意書に対する答弁書において、その都度韓国側に申入れを行っていると答えている。しかしながら、我が国の立場は韓国側に理解されないばかりか、韓国による一方的な諸外国へのロビー活動は年々活発化し、慰安婦問題に関して事実でないことが真実のように世界に広められていることを危惧している。
 よって、以下のとおり質問する。

一 平成二十四年六月に米国ナッソー郡に建てられた慰安婦記念碑について、外務省として抗議したのか。

二 平成二十四年五月に建てられた「戦争と女性の人権博物館」に関しては、片山さつき参議院議員提出の「従軍慰安婦問題に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第一一八号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第一一八号)において、「博物館では、慰安婦問題の経緯等について展示されていると承知するが、当該博物館の開設のために大韓民国政府が一部、補助金を出していること、また、当該展示の内容には我が国の立場と相容れないものがあること等を踏まえ、政府として、大韓民国政府に対し慰安婦問題に関する我が国の立場等を申し入れた。」とされている。本博物館建設に当たっては、『日本軍「慰安婦」の名誉と人権のための「戦争と女性の人権博物館」日本建設委員会』により約千七百件に及ぶ個人と団体から寄付が集められ、建設費の約三分の一が同委員会からの寄付によるものだという。政府は当該博物館の展示内容は「我が国の立場と相容れない」という認識であると承知しているが、このように民間から多額の寄付が同博物館にされていることに対する政府の見解を示されたい。
 また、寄付を行った団体の中には、自治労や教職員組合の名前もあるが、こうした事実に対する政府の見解を示されたい。

三 平成四年七月六日と平成五年八月四日の二度にわたり発表された政府調査資料「いわゆる従軍慰安婦の調査結果について」は、調査対象の機関が警察庁、防衛庁、法務省、外務省、厚生省、労働省、国立公文書館、国立国会図書館及び米国国立公文書館で、合計二百八十三件、二千頁に及ぶものである。同資料によると、日本軍が悪徳業者による拉致など違法な慰安婦募集が行われないように、また、軍や警察がきちんと取り締まっていたことも明らかである。さらに、同資料は徹底分析され、平成十九年には冊子にまとめられている。政府の調査結果を国内はもとより海外に対しても、広く発信していくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 来年度から高校で使用される検定済教科書のうち、東京書籍発行の日本史Aでは「日本の植民地や占領地では、朝鮮人や中国人・フィリピン人・ベトナム人・オランダ人など、多数の女性が「慰安婦」にかりだされた。」と記述されているが、「かりだされた」とは誰によってかりだされたという意味なのか、政府の認識を示されたい。また、このように主語がはっきりと示されない記述により、誤解が生まれる懸念について、政府はどのように考えるか。さらに、本年度から使用されている中学教科書では、事実と異なる「従軍慰安婦」に関する記述がすべて削除されたが、高校教科書では削除されなかったことについて、政府の見解を示されたい。

  右質問する。