質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇一号

シリアの治安情勢に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年七月二十日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   シリアの治安情勢に関する第三回質問主意書

 報道によれば、二〇一二年七月十七日、シリアの首都ダマスカスの治安機関本部を狙った爆弾攻撃によりシリア国防相等が死亡し、また、翌十八日もダマスカス郊外で政府軍のヘリコプターが葬列を攻撃して参列していた住民ら百三十人以上が死亡、多数が負傷し、十九日も南部ミダン地区などを中心に戦闘は続いているとされる。
 他方、国連安保理では、国連停戦監視団の期限延長とシリア制裁を含んだ決議案は、ロシアと中国の拒否権行使により否決され、治安改善に向け国連も有効な手段を取りづらい状況にある模様である。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 日本政府はシリア国内の状況を内戦か否か答弁するのは難しいとしているが、これまで日本政府が内戦と認めた紛争はあったか。特にレバノンやカンボジア国内での紛争をこれまでどのように表現し、国会で答弁していたか、明らかにされたい。

二 シリア国内、特にダマスカスでの治安状況をどのように日本政府は評価しているか。また、国防相が爆弾により死亡したことはアサド政権や反政府勢力にどのような影響を与えると認識しているか、日本政府の見解を問う。

三 最近のダマスカスの治安状況が国連兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という。)の活動にどのような影響を与えているか、または、影響を与えていないのか、日本政府の見解を問う。

四 UNDOFへ派遣中の自衛隊部隊の活動は、治安状況に鑑み、ダマスカス及びその周辺地域では行っていないとの答弁があったが、イスラエル側やレバノンでの活動は継続中と認識して良いのか。また、シリア国内での国連業務はキャンプ・ファウアール以外で実施している場所はないとの認識で良いか、日本政府の見解を問う。

五 UNDOF司令部があるキャンプ・ファウアール周辺及びゴラン高原付近の治安状況を日本政府はどのように認識しているか。また、国内治安対応のため、ゴラン高原からシリア軍が移動・減少していることにより、他の勢力がゴラン高原に流入してはいないか。その兆候も含めて、日本政府の認識を問う。

六 UNDOF派遣中の自衛隊の活動が、仮に地域的にイスラエル側に重点を置いているとした場合、これが長期にわたれば、中立性の観点から問題はないのか、日本政府の見解を問う。

七 日本政府は、シリア国内の在留日本人の数をどのぐらいと把握し、その保護のためにどのような対策を講じているか。また、日本大使館閉鎖以降、国外に避難した在留日本人の数はどのぐらいか。

八 国連安保理でのロシアと中国の反対により、シリアへの制裁を含んだ決議案が否決された。本件に関する日本政府の見解を問う。また、今後のシリア情勢の安定化のため、アサド大統領の退陣に向けた日本政府の取組方針如何。特にロシアや中国への働きかけ、国連での活動について日本政府の見解を問う。

  右質問する。