質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一八〇号

福岡県田川郡添田町のような国民の共有財産である水源を存する自治体の汚水処理の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年七月六日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   福岡県田川郡添田町のような国民の共有財産である水源を存する自治体の汚水処理の推進に関する質問主意書

 人口規模の小さい市町村では、汚水処理人口普及率は全国の平均よりも依然低い水準であり、政府はより一層の汚水処理に係る施策を講じていかなければならない。今後も全国隅々まで汚水処理を推進するに当たっては、下水道と浄化槽を組み合わせて、地域の実情に応じた取組を進める必要がある。
 例えば、福岡県田川郡添田町は北九州市を流れる一級河川である遠賀川の源流の一つとなる彦山川の水源に当たり、清流で知られている地域であるが、汚水処理人口普及率はわずか三十二・五パーセントである。また、遠賀川の上流に当たる嘉麻市はわずか二十三・四パーセントである。
 国は、汚水処理の普及状況を検討するに当たっては、下流地域の汚水処理が行われることのみをもって、河川の水質保全が十分に行われていると判断することは適当でないことに留意すべきである。
 背後に英彦山が聳える地形では下水道の普及は困難な地域であることから、浄化槽による整備が望ましいものの、下水道整備と浄化槽整備に係る国による助成率の不公平は未だに放置されたままである。上流の自治体が清流を守ることは、下流の自治体にも恩恵をもたらす。その責務を下水道整備が困難な地域に求めることは不条理である。国民及び自治体間の共有財産である貴重な水源を守るためにも、国は一層の汚水処理を推進するべきと考える立場から、以下、質問する。

一 汚水処理の能力が同様である浄化槽と下水道の整備に係る助成率が異なっていることの妥当性について、政府の見解如何。

二 国民の共有財産である清流を存しながら、地理的条件などの要因により下水道を整備することを選択することが困難な自治体に対し、低い助成率で汚水処理能力を高めることを求めることは、同等の汚水処理機能を実現するに当たり過度の負担を強いる結果となる。地理的条件等の要因により浄化槽で整備を行う方が妥当であると考えられる地域に対しては、浄化槽整備の助成率を下水道整備並みの二分の一までかさ上げすべきと考えるが、政府の見解如何。

三 水源を守ることは国の責務である。上流地域は山地となっていることが多く、前述したような下水道整備が特に困難な地域に当たると考える。地理的条件等の要因により浄化槽で整備を行う方が妥当であり、かつ、水源を守ることにつながる上流地域の汚水処理施設の整備に対しては、浄化槽整備の助成率を下水道整備並みの二分の一までかさ上げすべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。