質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一七〇号

東日本大震災を踏まえた教訓事項の整理・活用等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年六月二十九日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   東日本大震災を踏まえた教訓事項の整理・活用等に関する質問主意書

 平成二十四年六月十九日の参議院外交防衛委員会において、平成二十三年三月十七日から二十日の間、米国エネルギー省が東京電力福島第一原発周辺地域の放射性物質を実測した空中モニタリングデータ(以下「米国モニタリングデータ」という。)が外務省に提供されていたが、その情報を公表せず、住民避難にも活用しなかった事に関し、情報を受領した外務省、外務省を通じて情報を受領した経済産業省、文部科学省の各大臣又は大臣政務官から反省の答弁があった。
 また、同委員会において、森本防衛大臣から東京電力福島原発の事故を踏まえて、大飯原発のテロ・ゲリラ対策や自衛隊の施設強化、陸上自衛官の定数増員及び東日本大震災の教訓の最終取りまとめ等について言及があった。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 米国モニタリングデータを官邸が承知したのはいつか。また、外務省、文部科学省及び経済産業省の政務三役が承知したのはいつか、それぞれ具体的に明らかにされたい。
 さらに、政府が米国モニタリングデータを公表しなかったのは何故か。その理由を具体的に示されたい。

二 米国モニタリングデータを住民避難に活用しなかったのは何故か、その理由を明確にされたい。SPEEDIのデータを避難に使用しなかったのは、推測値であり、無用な混乱を引き起こさないためと政府は答弁しているが、米国モニタリングデータは実測値であり、推測値ではない。実測値であれば即座に公表し住民避難に活用すべきだったと考えるが、SPEEDIデータ非公表の政府答弁との整合性について、政府の見解を明らかにされたい。

三 米国が米軍機を使用して東京電力福島第一原発付近の空中モニタリングを平成二十三年三月十七日から開始したが、同時期に実施された自衛隊による空中モニタリング実績(実施日・実施機数)、モニタリング結果の公表の有無及びそのモニタリング結果の住民避難等への活用実績如何。
 また、米国政府は日本政府の要請を受け、同年三月二十四日(日本時間)に米国モニタリングデータを公表したが、日本政府が自衛隊によるモニタリング結果を公表しなかった理由如何。さらに、東日本大震災の発災以降、自衛隊機の放射能空中モニタリング器材の整備状況についても明らかにされたい。

四 防衛省は平成二十三年八月に、東日本大震災に関する教訓の中間取りまとめを実施し公表したが、それ以降の教訓事項の発表はない。森本防衛大臣は前記委員会において、できるだけ速やかに最終報告を行うと明言したが、いつまでに当該最終報告を行うのか、政府の見解を問う。

五 大飯原発の再稼働に関し、そのストレステストにはテロ・ゲリラ対策は含めないとの政府答弁があった。他方、危機管理や安全管理の観点からは、国民保護を含めたテロ・ゲリラ対策は第一義的には政府の責任であると認識している。前記委員会における大臣答弁にもあるように、大飯原発の立地条件や道路素質を考慮した場合、テロ・ゲリラ対策は安全確保の観点から重要な課題と認識しているが、大飯原発のテロ・ゲリラ対策への政府の取組、原発周辺の住民避難・保護の考え方について、政府の見解を問う。

六 国土交通省による「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」(平成十八年国土交通省告示第百八十四号)では、平成二十七年度末までに、少なくとも九割を耐震化することを目標としているが、自衛隊施設の耐震化対策の現状及び平成二十七年度末時点での耐震化対策の達成見通しを、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、共同機関等毎にそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。