質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一三九号

薬学教育の質の確保等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年六月八日

藤井 基之   


       参議院議長 平田 健二 殿



   薬学教育の質の確保等に関する質問主意書

 本年四月、六年間の薬学教育を履修した薬剤師の一期生が社会に巣立った。薬学教育の修業年限の延長は、医療技術の高度化等に対応するため、臨床に係る実践的な能力を培うこと等を目的としてなされたものであり、平成十六年の大学設置基準の改正において、実務実習に必要な施設を確保すること、専任教員の中に一定数の薬剤師実務経験者(実務家教員)を置くことなどを求めている。また、中央教育審議会の大学分科会は、同年「薬学教育の修業年限延長に係る大学設置基準等の改正に伴う提言」を公表しており、この中で、「人の命を預かる医療人としての薬剤師の養成のための質の高い教育が行われていることを社会に対して保証するためには、薬科大学・薬学部関係者自らが中心となって、教育の質を検証し、適正な評価を行うための体制を早急に整備する必要がある」と指摘している。
 一方、薬科大学・薬学部については、平成十三年十二月の総合規制改革会議の答申を受けてから新増設が認められ、平成十四年の時点で四十六大学であったものが、平成二十四年四月の時点で七十三大学七十四学部となっている。また、入学定員においても約八千名であったものが、六年課程の定員は約一万二千名と急増している。
 また、私立大学においては、入学者数が入学定員数に満たない、いわゆる定員割れの大学が相当数見られ、さらに、五年次進級率が低い大学も散見されるなど、薬学生の質の低下が懸念される。
 そこで、薬学教育の質の確保等に関して、以下質問する。

一 薬科大学・薬学部(六年課程)の新増設は、平成二十年度を最後に認可されていないが、今後の薬科大学・薬学部(六年課程)の新増設に関する見通しについて、政府の見解を示されたい。

二 いわゆる定員割れとなっている薬科大学・薬学部(六年課程)が多く存在する等薬学生の質の低下が懸念されるが、薬学生の質を確保するため、国としてどのような施策を講じているのか示されたい。

三 薬科大学・薬学部(六年課程及び四年課程)の中途退学の状況を把握しているのであれば、その内容を示されたい。

四 平成十六年五月十一日の参議院厚生労働委員会における薬学教育に関する質疑において、政府参考人より、薬科大学・薬学部の設置認可後の事後チェック、特に第三者評価が的確に行われるよう支援する旨答弁されているが、第三者評価の進捗状況及び政府の支援策はどのようになっているのか示されたい。

五 実務家教員の実務家としての知識・技能の維持は極めて重要と考えるが、政府としての見解を示されたい。また、実務家教員に対する支援策について、国としてどのように考えているのか示されたい。

六 大学教育における授業料等については消費税非課税であるにもかかわらず、教育の一環である実務実習にかかる費用に対しては課税となっている。学生の負担を軽減する観点から実務実習にかかる費用に対しても非課税にすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 第九十七回薬剤師国家試験の合格率(特に新卒者)が従来に比して高くなっているが、出題基準の大幅な変更によるものなのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。