質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一二八号

日本政策投資銀行をめぐる諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月三十日

横山 信一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   日本政策投資銀行をめぐる諸問題に関する質問主意書

 株式会社日本政策投資銀行(以下「政投銀」という。)には、平成十二年度からの累計で政府から二兆三千四百五十一億円が出資されている。政投銀が融資した株式会社日本航空は経営破綻し、融資額六百七十億円のうち回収不能となった四百六十六億円が国民負担となることが、会計検査院の平成二十二年度決算検査報告で初めて明らかになった。会計検査院の報告がなければ国民には知らされることがなかったであろう。融資資金が国税等をもって充てられているにもかかわらず、融資の透明化が図られていないことは問題である。
 また、政投銀が十二・六パーセントの株式を保有し、日本航空や全日本空輸とともに大株主となっている空港施設株式会社は、政投銀を経由して国交省の出身者が代表取締役社長を務めている。これまで同社が行ってきた国交省が所管する新千歳空港の給排水業務について、昨年十月から公募手続が行われ、その結果、平成二十四年度における給排水料金は平成二十三年度と比較して給水で十六パーセント、排水で十七パーセント低下する予定となっている。
 こうした事実を踏まえ、以下質問する。

一 政投銀の融資先企業に係る情報開示については、過去に日本航空やエルピーダメモリへの大企業向け融資について行われている。今後も、債務者の了解を得た上で、これを積極的に開示すべきと考えるが、今後の指導方針を含めた政府の見解を示されたい。

二 政投銀の出資比率が十二・六パーセントと高率である空港施設株式会社、同社グループ企業である東京空港冷暖房株式会社及びAFC商事株式会社に対する国家公務員の天下り・渡りの状況に関し、現在の在職者の府省庁退職時の職名及び府省庁退職後の職歴を明らかにされたい。

三 平成十六年六月の財務省通達により、行政財産の使用許可は原則公募とされている。にもかかわらず、新千歳空港の給排水業務については、平成二十三年度まで空港施設株式会社が公募によらず業務を行っていたが、その理由及び妥当性について政府の見解を示されたい。

四 新千歳空港の給排水業務については、その業務契約の在り方が北海道議会で取り上げられ、また、改善を求める衆議院議員稲津久氏の質問主意書も提出された。平成二十四年度からは一般競争入札が導入され、これによる新料金は平成二十三年度に比べ給水で十六パーセント、排水で十七パーセント低下することとなっている。一般競争入札とすることにより給排水料金がここまで大幅に安くなるということは、これまではその分だけ儲かる契約をしていたことになり、余りに利用者の利便を無視したものと言わざるを得ない。新千歳空港において、こうした一般競争入札による業者選定が行われることとなったにもかかわらず、依然、伊丹空港及び羽田空港においては空港施設株式会社との随意契約を継続する理由を明らかにされたい。また、随意契約の内容を開示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 給排水業務に限らず空港施設内の各種割高な料金による弊害は最終的には航空利用者等に転嫁されていると思われる。このことは、国際競争力向上の阻害要因の一つとして認識すべきであり、今後、空港施設内業務の業者選定に際しては一般競争入札を原則とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。