質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇八号

原子力安全委員会による中間とりまとめを踏まえた緊急被ばく医療体制の強化に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月十一日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   原子力安全委員会による中間とりまとめを踏まえた緊急被ばく医療体制の強化に関する再質問主意書

 私が平成二十四年四月十七日に提出した「原子力安全委員会による中間とりまとめを踏まえた緊急被ばく医療体制の強化に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第八七号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第八七号)を受領したが、答弁書の内容は論点をそらした不十分なものばかりであり、原子力安全委員会の提言を真摯に受け止めていない。現状のままでは、これまでどおり国の社会的責任を果たすことができないと考えるため、以下、再質問する。

一 前記質問主意書では、緊急被ばく医療体制を強化するために、政府として文部科学省に対してどのように検討させていくのかを質問しているのに対して、答弁書の「一について」では、明確な答弁がない。今後、文部科学省におけるどのような検討の場で検討するのか、具体的な会議名を示されたい。また、「同委員会、文部科学省、厚生労働省等の関係府省において連携を図りつつ進める」との答弁のうち、「等」は何を指すのか、具体的かつ網羅的に示されたい。また、会議の開催方法について、前記関係府省が合同で会議を主催するのか、個別に会議を主催するのか、政府の方針を示されたい。

二 前記質問主意書では、現時点で不測の事態が続いている東京電力福島第一原子力発電所の周辺で働く方に対する緊急被ばく医療体制を強化する必要性についての認識を質問しているのに対して、答弁書の「二及び三について」では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証等を待って検討するとの立場が示されているが、現在においても継続している放射線障害に対する政府の認識が余りにも甘いと言わざるを得ない。そこで、その必要性について、改めて政府の見解を示されたい。また、前記質問主意書では、その手段として、福島県立医大を三次被ばく医療機関に昇格させるか、災害対策基本法における指定公共機関に指定してはどうかと提案しているが、この提案に対する政府の見解を明確に示されたい。

三 答弁書の「四について」及び「五について」に関して、原子力安全委員会の中間とりまとめにおいて、三次被ばく医療機関のそれぞれが果たした役割は十分でも、東京電力福島第一原子力発電所の事故全体への対応において果たした役割が不十分であったと指摘された理由は、国が整備した体制が不十分であったためと考える。また、前記質問主意書では、放射線医学総合研究所について、原子力安全委員会が指摘したように体制の強化を目指していくのか、又は、支援業務に特化していくのかを質問しているが、答弁書では効率的な運営体制を確保しつつ現状を追認しようとする政府の姿勢が示されており、今後も十分な対応が期待できないと言わざるを得ない。福島県内の自治体においては、独立行政法人放射線医学総合研究所の一部機能を誘致する声もあると聞いているが、放射線医学総合研究所本体の在り方に関する今後の方針が定まらない状況では、福島県への支援が困難である。今後、放射線医学総合研究所は、医療機関としての役割と、国内随一の専門支援機関としての役割の両方の強化を行うと解して良いか、政府の見解を示されたい。さらに、福島県に一部機能を移転することについて検討する予定はあるか、政府の方針を示されたい。

四 答弁書の「六について」では、再発防止についてどのような検討の場で検討を行う予定であるのか、明確に示されていない。検討の場となる具体的な会議名を示されたい。また、前記質問主意書では、緊急時応急対策調査委員として総理から指名された者について原子力安全委員会への派遣を中止したことに対する再発防止策を質問しているのに対して、答弁書では「緊急被ばく医療活動に関し必要な専門的、技術的知見を有する者を適切に確保」する旨が示されている。政府は緊急被ばく医療に関する業務だけが滞ったとの認識であるのか、明らかにされたい。

  右質問する。