質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第八六号

普天間飛行場の管理運用及び安全性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年四月十七日

糸数 慶子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   普天間飛行場の管理運用及び安全性に関する質問主意書

 沖縄県宜野湾市の中心部に位置する米軍普天間飛行場は一九九六年四月十二日に、返還合意された。しかし、返還合意から十六年が経過した今日においても飛行場の運用は維持・強化され、宜野湾市民を始め近隣の自治体住民は、慢性的な軍用機の爆音にあえぎ、苦しみ、日常生活は常駐するヘリコプター等の墜落の危険にさらされ、教育や医療等の現場は爆音禍による劣悪な環境に置かれている。本年三月三十日には第二次普天間爆音訴訟も提訴された。日本政府は、在日米軍への提供施設及び区域の維持管理や運用等の一切については在日米軍に任せ、沖縄県内の提供施設及び区域から発生した有毒物質等による土壌汚染や水質汚濁、廃棄処理等の環境汚染問題に対する国会質疑や質問主意書等の答弁に当たっては、米国国防総省発行の「日本環境管理基準」(仮訳)を盾に、安全基準等は遵守されているとの見解を繰り返している。同様に、軍用機の苛烈な爆音被害に対する国会質疑に当たっても「航空機騒音規制措置」(騒音防止協定)の遵守への働きかけを政府見解とする。そこで、米軍普天間飛行場の管理運用及び安全性に関し、以下、質問する。

一 二〇〇三年十一月、当時のラムズフェルド米国防長官が普天間飛行場を視察し、「世界一危険な飛行場」と指摘したが、政府の普天間飛行場に対する今日的な状況における危険性及び安全性への見解と、その根拠を示されたい。

二 米国国防総省下の海兵隊は、普天間飛行場の維持管理や運用、安全基準等について、どのようなマニュアルを有しているか、政府の承知しているところを明らかにされたい。

三 宜野湾市を始め普天間飛行場の即時閉鎖、返還を求める市民団体等は米国国防総省のマークがついた二〇〇二年十二月十九日付け文書「OPNAV INSTRUCTION 11010.36B」を入手し、普天間飛行場における「CLEARZONE」(仮訳・土地利用禁止区域)の存在を明らかにした。政府は「CLEARZONE」の存在を承知しているか。この存在を承知しているのであれば、その範囲等、詳細な内容を明らかにされたい。

四 文書「OPNAV INSTRUCTION 11010.36B」においては、「APZ-Ⅰ」(仮訳・事故危険区域Ⅰ)と「APZ-Ⅱ」(仮訳・事故危険区域Ⅱ)があるとされるが、それらの存在を政府は承知しているか。それらを承知しているのであれば、その範囲等、詳細な内容を明らかにされたい。

五 普天間飛行場において、現在、前記三及び四の「CLEARZONE」及び「APZ-Ⅰ」と「APZ-Ⅱ」は設定されているのか、政府の承知しているところを明らかにされたい。

六 政府は、普天間飛行場の「CLEARZONE」及び「APZ-Ⅰ」と「APZ-Ⅱ」について、米軍又は米国政府と、その設定に関し協議したことがあるのか。協議したのであれば、その日時と場所、協議の具体的な内容、協議機関のメンバー等を明らかにされたい。

七 普天間飛行場はその形態からして明らかに欠陥飛行場であるが、その欠陥飛行場を不作為のまま放置し、使用し続けることは許されない。政府は早急に普天間飛行場の閉鎖に取り組み、沖縄県民の安全・安心を確保するべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 普天間飛行場に本年秋にも配備予定の米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、本年四月十一日、アフリカ北部モロッコで、モロッコ軍との合同演習中、墜落し、搭乗していた海兵隊員二人が死亡した。改めてオスプレイの安全性に対する政府の見解を示されたい。

  右質問する。