質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第七八号

放射性物質の拡散防止対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年四月九日

川田 龍平   


       参議院議長 平田 健二 殿



   放射性物質の拡散防止対策に関する質問主意書

 政府の放射性物質の拡散防止対策について、以下質問する。

一 私が先般提出した「食品の放射能汚染の規制に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第一号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第一号)において、「国際原子力機関(IAEA)が平成十六年八月に出版した「規制除外、規制免除及びクリアランスの概念の適用」に、放射能濃度値を満足させるための物質の意図的な希釈は、放射能が考慮されていない、通常の操作で起こる希釈は別として、規制当局の事前の承諾がなしに許可されるべきでないとの記述がある」ことを政府も認知している旨の記述がある。他方、現状としては、被災地瓦礫の焼却後の残渣につき、ベクレル値を引き下げるため、一般ごみとの混合による焼却が、受入れ自治体においても多く推奨されている。当該焼却方法は、前記答弁書におけるIAEAの見解と明らかに矛盾すると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 IAEAが前記答弁書にある見解を示す理由について、政府の見解を示されたい。

三 前記答弁書にあるIAEAの見解は、意図的な希釈の原則禁止を前提とするものであるから、規制当局の事前の承諾といっても、その承諾には、一定の合理性が求められることは明らかである。前記一の質問に対し、各自治体が行っている焼却方法を政府が「是」とする場合、当該「是」とすることに対する合理的根拠を明らかにされたい。

四 前記三における焼却方法に関する合理性の判断については、当該行為を実行することに対する緊急性・代替案の不存在等の事情が前提として存在しなければならないと思料する。他方、現地からの情報によれば、瓦礫処理用のプラントを建設して処理を行うという対応方法について、丁寧な検討がなされていないとの指摘があると聞いている。この点、政府においては、このような代替案やその他の代替案について、どのような検討を行ったのか示されたい。その上で、前記答弁書にあるIAEAの見解を超越し、域外での被災地瓦礫の処理を政府の政策として推進した理由について、具体的に明らかにされたい。

五 瓦礫焼却時の空中放射線量の測定は、七日に一度、月に一度という頻度で実施されていると聞いている。常識的見地から、こうした測定は安全性の確認を行う意欲があるのか疑われる粗雑な内容と言わざるを得ず、この点が国民の不信を招いていると思料する。
 この点に関し、まず各焼却場において瓦礫を焼却する時間帯を事前に公表し、毎日当該時間帯において焼却場の職員が敷地四箇所で空中放射線量を計測・公開することは、国民にその安全性を理解してもらう上で必要不可欠な対応と思料する。政府は各自治体に対して、こうした対策を実行するよう指導する方針はないのか。当該方針がない場合、先の野田総理の「より安全性の立証ができるようにする」との発言の趣旨と矛盾すると思料するが、野田総理の当該発言の意図を具体的に明らかにされたい。

六 本年二月二十八日の日刊ゲンダイ記事中に「林野庁は薪の出荷に関して、国の基準を超えたものとそれ以外のものを組み合わせることを推奨しています。全体で基準をクリアすればいいという考え」という報道がある。当該報道内容は事実か、政府の承知するところを示されたい。仮に林野庁がこのような指導を行っている場合、前記答弁書にあるIAEAの見解に逆行する大きな問題であり、直ちに当該指導をやめるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
 また、政府は放射性物質の扱いに関する国際的基準を日本が順守する上で、積極的に各業界に対して、前記答弁書にあるIAEAの見解を周知徹底させるべきと思料するが、政府の今後の方針を示されたい。

  右質問する。