質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

防災啓発用冊子の発行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年三月二日

加藤 修一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   防災啓発用冊子の発行に関する質問主意書

 二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらした。特に人的被害については、死者一万五千八百四十八人、重軽傷者六千十一人、行方不明者三千三百五人(二〇一二年二月十日現在)と、我が国災害史上類例を見ない規模の被災であった。これほど痛ましい犠牲は二度とあってはならない。
 地震や津波だけではない。死者・行方不明者九十二人の被害を受けた昨年八月の大型風水害(台風十二号)、さらに、百人以上の死者を出した豪雪等と、日本列島では災害が頻発している。
 しかも、災害はこの瞬間にも突然襲ってくる。二月十四日には、震度六の烈震一回、震度五クラスの強震三回が一日間で集中的に発生し、本年に入って二か月間で震度五以上の余震は十六回も起きている。
 これだけの大規模な自然災害が頻発する中、防災に関する知識や経験など、具体的な教訓を国民に提供するのは、第一義的に政府の責務であるはずである。
 ところが、東日本大震災以降、政府による一般国民向けの防災啓発用冊子の新規発行が全く見られず、在庫ゼロだと言われている。昨年末の予算案編成後、第二十九回中央防災会議において、野田佳彦総理は「想定外のことが起こったという言い訳はこれからは通用しません。想定した以上のことが起こり得るということを、前提に立っていかに備えるかが重要だと思います」と言明した。しかし、この発言は、国民に対してではなく、まずは政府自らに対して向けられるべきである。
 この観点から、以下質問する。

一 政府(内閣府防災担当)が発行している国民向けの防災啓発用冊子は、「減災の手引き」、「みんなで減災」及び「一日前プロジェクト」の三種類と承知している。それぞれの発行年月及び発行部数を明らかにされたい。また、それぞれの現時点の在庫数及び東日本大震災以降の増刷数を明らかにされたい。

二 東日本大震災以降、前記一の三種類の防災啓発用冊子について、自治体、公民館及び国民から配布若しくは増刷の要請を何件受けたか、それらの要請にどのように対応したか。また、三種類の冊子の発行をなぜ中止しているのか、二十四年度以降に発行の予定があるのか、具体的に明らかにされたい。

三 平成二十三年度第三次補正予算に全国防災対策費として五千七百五十二億円が計上された。全国防災対策費の対象は、政府(内閣府防災担当)が昨年十二月七日に公表した「全国防災対策費の考え方」によれば「①東日本大震災の教訓、②緊急性、③即効性の要件を兼ね備えた防災、減災のための施策が必要条件となる」としている。防災啓発を目的とする事業は、こうした条件に適合するものと考えるが、当該事業に係る経費が全国防災対策費に含まれるかを示した上で、政府の見解を明らかにされたい。

四 家庭や地域で地震、津波、風水害などから身を守り、減災の行動をとるためには、全国民が防災知識を有することが重要である。これらの知識を分かりやすく掲載した防災啓発用冊子が手元にあれば、災害時だけでなく普段から何度でも確認できる。放射能汚染からの防護方法も含めた防災啓発用冊子を作成し、一家庭に一部を配備してはどうかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 東日本大震災は実に多くの防災上の教訓を国民に示した。防災上の教訓として、国民から政府に対してどのような有益な提案や指摘があったのか、具体的に示されたい。また、これらの教訓に関する事実を把握するために実態調査を実施すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。