質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第四五号

防衛大学校の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月二十九日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   防衛大学校の在り方に関する質問主意書

 防衛省設置法第十六条では、防衛医科大学校について、「防衛医科大学校は、医師である幹部自衛官となるべき者の教育訓練をつかさどる」と規定し、同条第四項ないし第六項において、教育訓練を受けることのできる者、教員の資格、設備基準等について、学校教育法に基づくことを明記している。また、同校卒業生は、防衛省設置法第十七条において、医師法第十一条第一号に規定される「学校教育法に基づく大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者」とみなされることとなっている。
 一方、防衛大学校は、防衛省設置法第十五条において、「防衛大学校は、幹部自衛官(三等陸尉、三等海尉及び三等空尉以上の自衛官をいう。)となるべき者の教育訓練をつかさどる」と規定され、同条第二項において、「自衛隊の任務遂行に必要な理学及び工学並びに社会科学に関する高度の理論及び応用についての知識並びにこれらに関する研究の能力を修得させるための教育訓練を行うとともに、当該研究を行う」とされているが、防衛医科大学校を規定する同法第十六条及び第十七条とは異なり、学校教育法等に準拠するような規定はない。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 第百八十回国会に提出された防衛省設置法等の一部を改正する法律案では、防衛大学校において、当該教育訓練を修了してから六年以内に離職した者に対する償還金制度の導入が盛り込まれている。
 防衛医科大学校卒業生は、学校教育法に準拠した教育を受け、医師法第十一条第一号に規定される者とみなされ、医師国家試験受験資格を取得できるため、既に自衛隊法第九十九条において、教育訓練を修了してから九年以内に離職した者に対する同制度は規定されている。
 しかしながら、防衛大学校卒業者には、防衛省の努力により、独立行政法人大学評価・学位授与機構から「学士」の学位が授与される教育は実施されているが、防衛省設置法上、両校の教育実施に係る規定に大きな差がある。防衛大学校卒業者の卒業時の位置づけなどに鑑みれば、償還金制度の適用に当たっては、防衛医科大学校と同等の大学教育実施に係る規定の整備が必要であると考えるが、この点について、政府の見解如何。

二 防衛省設置法第十五条において、「防衛大学校は、幹部自衛官(三等陸尉、三等海尉及び三等空尉以上の自衛官をいう。)となるべき者の教育訓練をつかさどる」と規定されているため、幹部自衛官とは、国際的に見た場合、諸外国における「士官」と同様であり、防衛大学校は諸外国の「士官学校」と同様の教育機関であると認識している。
 防衛省設置法等の一部を改正する法律案における防衛大学校卒業生に対する償還金制度の導入について、防衛省は、授業料を支払って大学教育を受け「学士」を取得する一般大学生との負担の公平の確保を、その理由としている。
 前述のとおり、防衛大学校は「幹部自衛官となるべき者の教育訓練をつかさどる」防衛省の施設等機関であり、一般大学生との負担の公平の確保を求めること自体が、本末転倒であると考えるが、政府の見解如何。

三 米国を始め諸外国の士官学校長の大半は将官であり、将来の国軍士官としての在るべき姿などを教導している。
 しかしながら、防衛大学校長は、これまで大森寛氏(陸上幕僚長たる陸将で退官後、第二代学校長)を除き、すべて学者及び官僚出身者で占められている。
 防衛省令では、学校長は教官をもって充て、教授、准教授、講師及び助教は、教官又は自衛官をもって充てると規定されている。
 これによれば、学校長に自衛官をもって充てることは出来ないが、今後、前述の大森寛氏の前例に倣って、退官した将官を教官に任じ、学校長に充てることは可能と考えられる。
 今後、防衛大学校出身の退官した将官を教官に任じ、学校長に充てることは可能か、政府の見解如何。もし不可であるとするならば、その理由は何か。また、それを禁じる内規などが存在するのか明らかにされたい。

  右質問する。