質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第四二号

救命救急医療の精度向上を目指した更なる高速道路網の強化及びスマートICの適切な設置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月二十八日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   救命救急医療の精度向上を目指した更なる高速道路網の強化及びスマートICの適切な設置に関する質問主意書

 救命救急医療の精度を向上させるために、これまで、現場における医療従事者、消防関係者等の懸命かつ尊い尽力とともに、行政においても第三次救急医療機関の整備、ドクターヘリやドクターカーの導入などのソフト及びハードの両面から命を守る取組が実施されてきた。
 救命救急センターは、当初百万人に一か所を目途に整備が行われた結果、これまで、全国に二百か所以上の施設が整備されてきた。しかしながら、複数の救命救急センターが設置された地域がある一方で、特に地方では最寄りの救命救急センターまで長時間の搬送を要する地域も多数存在し、地域間の偏在についてはいまだ課題が残されている。
 こうした課題の克服には、既存の救命救急センターの機能強化だけでは困難であり、救命救急医療へのアクセス向上が求められる。
 救急車等による出動から医療機関への収容までに要する時間が評価され、その時間短縮の成否が常に問われ続けているのは、発症から医療機関で診療を受けるまでのアクセス時間の長短が患者の予後・救命効果を左右するからである。
 そのため、ドクターヘリ、ドクタージェット等の空路による搬送手段の導入は、救命救急医療へのアクセス時間を飛躍的に短縮させた。しかしながら、夜間・悪天候時に出動ができない等の課題も残ることから、ドクターカー、救急車等を用いた陸路による搬送手段の整備によるアクセス向上は、常に救命救急医療を強化する対策として不可欠のものである。これらの車両が通行する道路、とりわけ高速道路及び周辺道の整備も併せて実施することにより、アクセス短縮は実現する。
 特に地方においては、高速道路の整備が極めて有効な手段であると思われるが、さらに高速道路と周辺道路との関係にも配慮が必要である。例えば、長崎県の第三次救急医療機関である独立行政法人国立病院機構長崎医療センターは、長崎県央に位置し、数多くの離島から空路搬送により、また、島原半島を含めた県南・県央の広域から長崎道を用いて患者が搬送されてくる。しかし、直近の大村インターチェンジ(以下「IC」という。)から約六・七キロメートルの距離があり、大半の患者が搬送される南部からのアクセスは同センターと直近の位置にある木場パーキングエリアから計算すると合計で約十三・四キロメートルの距離を大きく迂回して患者を収容させている。この迂回に要する時間は少なくとも二十分程度と見積もられるところ、木場パーキングエリアにスマートIC(高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バスストップから乗降ができるように設置されるインターチェンジ)を設置すれば、搬送時間は短縮し、救命に大きく貢献する。
 関係府省は一体となって、様々な施策を組み合わせることにより、どこで患者が発生したとしても一定のアクセス時間内に、救命が行われる体制整備に努めるべきである。救命救急医療の精度向上について、これまでの関係各位の取組を評価した上で、更なる向上を目指す立場から、以下質問を行う。

一 スマートICの整備は既に整備されたインフラを用いて、経済的かつ効率的に高速道路と医療機関のアクセスを向上させ、救命救急医療の強化に極めて有効な手段となりうる場合があると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 独立行政法人国立病院機構長崎医療センターのように、スマートICの設置によりアクセス向上が図られる結果、搬送時間が短縮できる事例については、救命救急医療の強化に極めて有効な手段であることから、政府は地方自治体と情報共有するとともに、関係自治体から相談があれば適切に対応するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。